製品別FAQ

【KOD FX】

KOD FXの最大の特長は何ですか?

高い増幅成功率(弊社No.1)です。マウステールライセート・全血・細胞懸濁液などのクルードサンプルやGCリッチターゲットなど通常増幅が困難なサンプルからも高い成功率で増幅が可能です。 幅広いPCRにおいて、良いデータが得られない場合、一度お試しいただく価値は大きいといえます。

KOD -Plus-とはどのように違いますか。どのように使いわけたらよいですか?

『KOD FX』は、さまざまな優れた特性を有するPCR酵素『KOD DNA Polymerase』をベースに開発された高性能PCR試薬です。本酵素は、優れた「増幅成功率」、「増幅効率」、「伸長性」を示し、幅広いPCRにおいて確実にPCR産物を得ることができます。
KOD -Plus-やKOD -Plus-Ver.2がKOD DNA polymeraseの高い正確性に着目して開発されたのに対し、本酵素は「増幅成功率」、「増幅効率」、「伸長性」を重視して開発された酵素であるといえます。
特に、KOD FXのその優れた「増幅成功率」は、クルードなサンプルを鋳型に用いる場合においても発揮され、全血や培養細胞等を直接PCR反応液に添加しても、十分な増幅が得られることを確認しています。従来、サンプルからDNAを一旦精製してから行っていたようなPCR実験も、『KOD FX』を用いることによって、煩雑なDNAの精製が不要になったり、簡単なサンプルの前処理のみでPCR実験が可能になります。

KOD FXの正確性(Fidelity)はどの程度ですか?

KOD FXのPCRエラーによるミス塩基の取り込み頻度(エラー率)は、実際にシーケンシングにて解析した144,535塩基中、わずか19塩基でした。このエラー率は、Taq DNA Polymeraseや他社Long PCR用酵素の約10倍優れている値です。

2ステップPCR(98℃→68℃)を推奨していますが、どの場合もこの条件でよいのですか?

はい、まずはこの2ステップのサイクルをお勧めしております。
ただし、以下の場合
 

●プライマーのTm値が73℃未満の場合
●2ステップのサイクルで増幅が見られない場合


はアニーリング温度を(Tm-5)℃とする3ステップをお勧めいたします。
 

 【3ステップサイクル】
94℃  2min.
(98℃ 10sec.→Tm-5℃ 30sec.→68℃ 1min./kb)×25-40cycles
KOD FXは培養細胞あるいは大腸菌を鋳型DNAとして直接使用することはできますか?

可能です。ただし過剰量を持ち込まないようにご注意ください。

手持ちのプライマーが20merなのですが、2ステップサイクルで大丈夫でしょうか?

3ステップを先にお試しください。
ちなみに、最適条件は22〜35mer(Tm値60℃以上)になります。特に、長いターゲットでは2ステップの方が良い結果が得られることが多いようです。

伸長時間の目安を教えてください。

1kbあたり1minを目安に設定ください。

逆転写反応液の持ち込みによる阻害を受けますか?

KOD FXは、KOD-Plus-Ver2同様に、逆転写反応液の持ち込みによる阻害を低減しています。

PCR プライマーを設計する場合の注意点はありますか?

プライマーはGC含量に偏りのない22〜35mer程度(Tm値>60℃)のものをご使用ください。また、分子内二次構造や、プライマーダイマーの形成が起こらないように注意して設計してください。長鎖ターゲットを増幅するLong PCRでは、できるだけプライマー設計ソフトを利用し、25〜35mer程度で、Tm値が65℃以上のプライマーを設計ください。また、プライマーの3’端領域がGCリッチにならないようにご注意ください。プライマーの精製は、カートリッジ精製グレード以上であれば、特に増幅結果に影響はないようです。

KOD FXをマルチプレックスPCRに応用したいのですが、コツはありますか?

プライマーを等モルで添加した場合、どちらかの増幅産物が増幅しすぎてしまうことがあります。その場合、添加するプライマー量の比を検討してください。一般的には、増幅の悪かった方のターゲットのプライマー量を1.5倍程度に増やし、サイクル数を少なくする方向で検討することで良好な結果が得られることがあるようです。

PCR産物を精製なしでそのまま制限酵素処理はできますか?

数種類の制限酵素(Xho I、EcoR V、 Pst I、Sac I)では、PCR産物 10 μLに対して制限酵素1μL(約10U)を添加し、37℃、60分で効率的に切断可能であることを確かめています。ただし、初めて行う場合は、一度予備検討してから実施されることをお勧めします。

Proteinase Kを用いて調製したマウステールライセートからも直接PCRできますか?

Proteinase KとSDSがPCR反応に悪影響を及ぼす恐れがありますのでProteinase KとSDSを用いて調製されたライセートを直接PCRに用いることお勧めおできません。ご使用の場合、精製が必要となりますのでご注意ください。ライセートから直接PCRされたい場合は当社実施例に掲載の『アルカリ溶解法』をお勧めしております。→詳細はこちらからご覧になれます。
ただ、最近ユーザー様からの実施例で『ホームページを拝見すると、ProK、SDSを使用したサンプルは>精製が必要と書かれていましたが、すでに加えて処理したテンプレートしかなかったので、そのままPCRを行いましたが問題なくPCRできました。』とのご意見もいただいておりますのでサンプルによっては問題のない場合もあるようです。ご参考まで。

どのようなクルードサンプルからDNAの精製なしに直接増幅できるんですか?

本製品を用いて、DNAの精製なしに直接増幅可能なクルードサンプルには以下のようなものがあります。
名前をクリックしていただくと実施例などの詳細をご覧になれます。
 

  1.  マウステールライセート
  2.  血液(Whole Blood)
  3.  培養細胞(細胞懸濁液)
  4.  酵母(コロニーダイレクト)
  5.  植物(葉・米粒)ライセート
  6.  ヒト毛根サンプル
  7.  海水のフィルターろ過サンプル(DGGE法使用)
  8.  トランスジェニックラットろ紙血

また、DNAサンプルを用いる場合でも、増幅困難(GCリッチ、Long Target等)なサンプルの増幅も得意としております。
PCRでお困りの場合は是非ご利用をご検討ください。

最大どれ位の長さまで増幅可能ですか?また、長鎖ターゲットを増幅する際のコツはありますか?

λDNAを鋳型に40kb、ヒトゲノムDNAを鋳型に24kb、cDNAを鋳型に13.5kbの増幅を確認しています。また、KOD FXのPCRエラーによるミス塩基の取り込み頻度(エラー率)は、実際にシーケンシングにて解析した144,535塩基中、わずか19塩基でした。このエラー率は、Taq DNA Polymeraseや他社LongPCR用酵素の約10倍優れている値です。

長鎖ターゲットを増幅する際のコツですが、10 kbを超える長いターゲットの増幅には、通常より長め(27mer以上)にプライマーを設計して特異性を上げると共に、アニーリング(及び伸長反応)を比較的高い温度に設定することでより良い結果を得ることができます。特に、ステップダウンサイクルでの増幅が有効です。また、脱塩グレードなどの精製度の低いプライマーを用いるとスメアや非特異増幅の原因となることがあるため、カートリッジ精製、もしくはHPLC精製グレードのプライマーのご使用をお勧めします。弊社でプライマー等を検討したデータもございます。ご参考になれば幸いです。

【関連記事】
『KOD FX』を用いたlong PCRにおけるPrimerの精製グレード及び鎖長の影響

KOD FXはGC含量が低いターゲットに対しても効果的ですか?

GC含量が低いターゲットに対しても有効な場合がありますので、十分お試しいただく価値はあると考えられます。

KOD FXで増幅したPCR産物はTAクローニングができますか?

本製品で増幅したPCR産物の末端形状は、blunt end(平滑末端)になっており、そのままでは、TAクローニングはできません。従って、PCR産物をクローニングする場合には、必要に応じてリン酸化を行った後、blunt endを利用したクローニングを行ってください。下記資料もご参照ください。
また、TAクローニングを行いたい場合には、KODシリーズ用TAクローニングキット『TArget CloneTM-Plus- Code No. TAK-201 』を用いることにより、簡便にTAクローニングを行うことができます。

さらにPCR効率をアップさせたいのですが。。。

GC含量の高いターゲットを増幅する場合、DMSOを最終濃度で5%になるように添加することで、PCR効率が改善されることがあります。

クルードサンプルってなんですか?

クルードサンプルのクルードは、
Crude=自然のままの、生の、加工されていない等を意味しています。
『KOD FX』ではこれらの加工されていないサンプル(マウステールライセート、血液等)からサンプルの精製なしに直接PCR増幅が可能です。

伸長の最適温度は何度ですか?

72℃よりも68℃の方が良好な結果が得られるようです。

プライマーのTm値の算出方法はどの方法が適切ですか?

最近接塩基対法(Nearest Neighbor method)を用いております。プライマーのTm値計算表(EXCEL)は、こちらからダウンロードできます。

どのような原理のホットスタート法を用いていますか?

KOD FXの酵素にはあらかじめKOD DNA polymeraseに対する中和抗体が添加してあります。この 抗体は、ポリメラーゼ活性と3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を抑制するため、PCR反応液調製時の副反応がなく、PCRの特異性・感度をアップすることができます。抗体は、最初のPCRサイクルの変性条件で失活するため、PCRには影響ありません。

PCR産物がウェルに残ってしまい、電気泳動がうまくいきません。

マウステールなど動物組織を直接増幅した場合、アガロース電気泳動でDNA 断片がウェルに捕捉され目的の位置に泳動されないことがあります。以下の手順で、Proteinase K処理を行ってから泳動することをお勧めします。

1) PCR産物50μLに対し、20 mg/mL Proteinase K 10μLを添加して混合します。
*特に添加後の静置は不要ですが、室温・5分程度くらいまで静置していただいても問題ございません。
2) 6×Loading Dyeを12μL添加して混合します。
3) ウェルに適量をロードして電気泳動を行います。

うまく増幅できない場合の原因と対応方法を教えてください。

トラブルシューティングをご覧いただき、解決しない場合はお問い合わせください。
KOD FX トラブルシューティング

お問い合わせフォームはこちら
可能な範囲で結構ですので、以下の情報をお知らせいただけると幸いです。
・製品のLot No.
・サンプル(由来、処理方法)
・ターゲット(遺伝子、長さ)
・プライマー配列またはTm値
・反応液組成(液量、濃度)
・PCRサイクル
・サイクラー機器名

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