実施例
KOD -Plus- 実施例4 inverse PCRによる部位特異的変異導入
インバースPCRは相同部分のない逆方向の2種類のプライマーを用いてプラスミド全周をPCRで増幅する方法で、プライマーのデザインにより、塩基の置換や挿入、欠失を導入することができます。今回は、pUC19のlacZαペプチドの5'末端にHis-TagとBglⅡsiteを導入しました。(下図)
(部位特異的変異導入方法については、ライフサイエンス実験シリーズvol.8でも紹介しています。その他の実験シリーズはこちら)
【方法】
(1)変異導入
以下の条件でPCRを行いました。
プライマー配列 :
※プライマーは、T4 Polynucleo Kinase を用いてより5'リン酸化を行いました。
PCR反応液30μL にLigation high [ Code No. LGK-101 ]を15μL 添加し、16℃、2hrインキュベーションしてPCR産物のセルフライゲーション反応を行いました。
ライゲーション反応液をエタノール沈澱し、17μlの滅菌水で再溶解しました。鋳型プラスミドの切断のため、DpnⅠ 20units [Code No. DPN-101] を10×Buffer 2μLと共に添加し、37℃で1hr反応させました。
反応液でCompetent high JM109 [ Code No. DNA-900 ] を形質転換しました。
(2)変異確認
形質転換を行ったE.coli JM109を終夜培養した寒天プレート上のコロニーについて、KOD Dash [ Code No. LDP-101 ]、M13プライマーによるコロニーダイレクトPCRを行いました。
PCR産物に制限酵素BglⅡを作用させ、切断の有無により変異挿入の有無を確認しました。
変異挿入を確認したコロニーについてシーケンスの確認を行いました。
【結果および考察】
目的の変異が挿入されている場合は173bpの断片が、元の鋳型のpUC19からは149bpの断片が増幅されます。BglⅡにより切断された場合、139bpと34bpの断片を生じます。
ランダムに選んだ90コロニー中、86コロニーについてコロニーダイレクPCR産物のBglⅡによる切断が確認されました。(右図は電気泳動結果の一部)
また、電気泳動で変異挿入を確認したコロニーについてシーケンスを行ったところ、His-TagとBglⅡsiteが正しく挿入されていることが確認できました。
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