部位特異的変異導入キット
KOD -Plus- Mutagenesis Kit
TOYOBO
価格表
用途
●部位特異的変異導入(置換、欠失、挿入)
説明
KOD -Plus-の高い正確性を活かした、インバース PCR(Inverse PCR)法に基づく部位特異的変異導入キットです。
本方法では、プラスミドDNAを鋳型として背中合わせに設計したプライマーを用いてプラスミド全周を増幅し、変異導入を行います。
特長
●幅広い変異導入に対応
通常の変異導入に加え、数10bpの挿入(Tagの挿入)や数100bpの欠失にも対応可能です。また、混合塩基を導入したアミノ酸点変異ライブラリーの作製などにも応用可能です。
●確実な変異導入
最大95%の変異導入効率が得られます。また、PCRエラーによる2nd-site mutation(目的とする変異以外の変異)の可能性を最小限にしています。最大で11kbのプラスミドで変異導入を確認済みです。
●簡便なプロトコール
形質転換まで3ステップの簡単なプロトコールになっています。また、リン酸化したプライマーを準備する必要はありません。
原理
本キットでは、以下の手順に従って、変異導入を行います。
①Plasmid DNAを鋳型に、変異を導入したプライマーを用いてインバース PCR(Inverse PCR)を行います。欠失変異体を取得したい場合には、その欠失させたい領域の外側にプライマーを設計します。
②PCR産物に制限酵素Dpn Iを加え、鋳型Plasmidを消化します。
(Dpn Iは、認識サイト(GATC)中のアデニンがメチル化されている時のみ切断を行います。よって、一般的なDamメチラーゼ(+)の大腸菌株(JM109やDH5αなど)から調製した鋳型プラスミドはメチル化されているためDpn Iにより切断を受け、断片化されます。一方、PCR産物はメチル化されていないため、認識サイト(GATC)が存在しても切断されません。)
③直鎖状プラスミドであるPCR産物をSelf-ligationすることにより環状化し、大腸菌の形質転換に供します。
実施例
1.欠失および挿入変異における効率比較
7.3kbのプラスミドFLJ32066を対象に、本製品と、A社non-PCR法キットを用いて90塩基の欠失、および6xHisに対応する18塩基の導入を行いました。その結果、他社のキットが苦手とするような欠失や挿入などの変異導入に対しても、本製品では高い効率で変異体を取得することができました。
●90bp欠失
配列確認を試みた クローン数 |
目的の変異を有し ていたクローン数 |
目的とし変異体の 割合 |
|
本製品 | 16 | 14 | 88% |
A社キット | 16 | 7 | 44% |
●18bp挿入
配列確認を試みた クローン数 |
目的の変異を有し ていたクローン数 |
目的とし変異体の 割合 |
|
本製品 | 16 | 15 | 94% |
A社キット | 16 | 0 | 0% |
2. 目的外変異(2nd-site mutation)の挿入頻度の評価
キット付属のコントロールプラスミド(4.3kb)を鋳型として変異導入を行い(PCRは8サイクルにて実施)、得られた変異体から24クローンについて各々2,000bpの領域のシーケンシングを行いました。その結果、本製品では、実際に解析した合計48,000塩基の内、目的以外の変異はわずか1塩基でした。これは、A社non-PCR法キットと比較しても、同等以上の結果でした。
変異導入率 | 確認した クローン数 |
総シーケン シング 塩基数 |
目的外変異 の塩基数 |
目的外変異 の挿入率 (×10^-5) |
|
本製品 | >80% | 24 | 48,000 | 1 | 2.08 |
A社キット | >80% | 24 | 48,000 | 2 | 4.16 |
参考文献
(1)S. Arai et al., FEBS Letters, 581(29): 5649-5657(2007)
(2)Y. Torisu et al., Cancer Science,99(6): 1139-1146(2008)
(3)N. Shinmen et al., FEBS Letters.583(12): 1916-1922(2009)
- 製品内容
KOD -Plus- 25μL 10x Buffer for iPCR 125μL 2mM dNTPs 125μL Dpn I 50μL T4 Polynucleotide Kinase 50μL Ligation high 250μL Control Plasmid 10μL Control Primer #1 10μL Control Primer #2 10μL
- 注意事項
●本キットで用いられている酵素はKOD -Plus-と同等です。
●10×Buffer for iPCRは、本キット用に至適化されています。
*各酵素溶液(KOD -Plus-, Dpn I, T4 Polynucleotide Kinase)には、消防法 危険物 第4類 引火性液体 第3石油類 水溶性液体に該当するグリセロールが50%含まれますが、引火点測定試験で危険物に該当しないことを確認しております。
- 基本反応条件
-
KOD-Plus-(1U/μL) 1μL
10×Buffer for iPCR 5μL
2mM dNTPs 5μL
Forward Primer 15pmoles
Reverse Primer 15pmoles
鋳型Plasmid DNA 50ng
------------------------
Total Volume 50μL
Cycle
94℃, 2min.
↓
98℃ 10sec.
68℃ Xmin. 4〜10 Cycles
- ワンポイントアドバイス
●プライマーの設計につきましては、取扱説明書p.4をご参照ください。使用するプライマーはリン酸化しておく必要はありません。
●鋳型プラスミドについて 一般的に用いられているJM109やDH5αなどの大腸菌で調製したプラスミドを使用することができます。Damメチラーゼ(-)株で調製したプラスミドは使用できません。
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トラブルシューティングは
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English Page
- ※ 法規制について
- 毒: 毒物及び劇物取締法[医薬用外毒物]
- 国: 国民保護法[毒素]
- 劇: 毒物及び劇物取締法[医薬用外劇物]
- 組: カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による
- 危: 消防法[危険物]
- 生物の多様性の確保に関する法律)
- P: PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)[届け出義務物質]
- 申: ご購入時に申込書の提出が必要な製品
- 労: 労働安全衛生法[通知または表示義務物質]
- なし: 上記法令や申込書の提出に該当しない製品