高正確性PCR酵素
KOD DNA Polymerase
TOYOBO
価格表
用途
●PCR
●DNAフラグメントの平滑化
説明
本酵素は、鹿児島県小宝島の硫気孔から今中先生らにより単離された超好熱始原菌Thermococcus kodakarensis KOD 1株由来のDNA polymeraseで、KOD -Plus-やKOD FXなどの増幅効率を向上させた高正確性PCR酵素の元となった酵素です。強い3'→5'Exonuclease活性(校正活性)を有し、Taq DNA polymeraseに比べ約50倍の高い正確性を示します。2.5U/反応で至適化されており、短いターゲットを正確に短時間(30sec./kb)で増幅することができます。
一方、KOD -Plus-やKOD FXでは長距離性能や成功率を向上させるため1U/反応で至適化されているため、伸長時間はTaqと同じ1min./kbに設定されています。(反応性を改善したKOD -Plus- NeoやKOD FX Neoでは、30sec./kbの反応も可能です。)
KOD DNA polymeraseは強いProof-reading活性を有するため、増幅産物の末端は平滑末端(blunt end)になります。(この強い3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を利用して、DNA末端の平滑化処理にもご使用いただけます。) また、専用のTAクローニングキット『TArget CloneTM -Plus-』を用いることにより、TAクローニングを行なうことが可能です。
特長
●優れた正確性
強い3'→5'Exonuclease活性を有するため、Taq DNA polymeraseに比べ、PCRにおいて約50倍の正確性を示し、PCR産物のクローニング目的に適しています。
●速いDNA合成速度
Taq DNA polymeraseの約2倍、Pfu DNA polymeraseの約6倍の合成速度を示し、高速PCRに用いることができます。
●優れた耐熱性
Taq DNA polymeraseよりも耐熱性に優れ、100℃・1時間の熱処理後も約70%の活性を維持しています。そのため熱変性ステップの温度を高く設定でき、GCリッチな鋳型など特異的高次構造をとるようなターゲットに有利です。
実施例
1. 各DNAポリメラーゼのPCR伸長反応速度の比較
M13mp18 ssDNAを鋳型にP7プライマーを用いて75℃において伸長反応を行った後、アルカリ変性アガロース電気泳動を行い、オートラジオグラフィーにて検出しました。
反応は、鋳型を1.6μg、酵素5Uを使用し、[α-32P]dCTPを含んだ80μLの系で行いました。
その結果、KOD DNA Polymeraseは他の酵素に比べて反応速度が速く、Taq DNA Polymeraseの約2倍、他社のα型PCR用酵素とでは約4~6倍の合成速度を保持していることが分かりました。
2. KOD DNA PolymeraseのPCRにおける鋳型量の比較
プラスミドを10pg~100ng用い、50μlの系で酵素を2.5U使用して1kbのターゲットの増幅を行いました。その結果、100pg~100ngまでの幅広い鋳型量で良好な増幅を確認できました。
3. KOD DNA PolymeraseのPCRにおける伸長反応時間の比較
λDNA上の2kbをターゲットにして、KOD DNA Polymerase、Taq DNA Polymerase及びA社高正確性PCR酵素を用い、増幅効率を比較しました。
反応はプラスミド2ng、酵素2.5Uを使用し、50μLの系で行いました。
その結果、KOD DNA Polymeraseは、伸長時間が1sec.の場合においても増幅が認められ、5sec.で良好な結果が得られました。一方、Taq DNA PolymeraseとA社酵素では、良好な結果が得られるには、10sec.と60sec.の伸長時間が必要でした。
参考文献
1) Imanaka T. et al., Appli Environ. Microbiol, 63: 4504-4510 (1997)
2) Thomas A. Kunkel. J. Biol. Chem., 260: 5787-5796 (1985)
3) Imanaka T. et al., J. Biochem. (Tokyo), 125: 983-986 (1999)
4) Imanaka T. et al., J. Mol. Biol., 306: 469-477 (2001)
5) Ohki Y. et al., J. Biochem. (Tokyo), 132: 713-718 (2002)
6) Okuno K.. et al., Biotchnol. Appi. Biochem., 36: 77-84 (2002)
7) Karaya K.. et al., J. Biochem. (Tokyo), 129: 769-775 (2001)
- 製品内容
KOD DNA Polymerase(2.5U/μL)
100μL×1本
10×Buffer #1 1mL×1本
10×Buffer #2 1mL×1本
25mM MgCl2 [TAP-2S] 1mL×1本
2mM dNTPs* [NTP-201] 1mL×1本
※50μLで反応を行なった場合、100~200回用としてご使用になれます。
形状:
50mM Tris-HCl(pH8.0)
0.1mM EDTA
1mM DTT
0.1% Tween® 20
0.1% Nonidet® P-40
50% Glycerol
Buffer組成:
10×Buffer #1
1.2M Tris-HCl(pH8.0)
100mM KCl
60mM (NH4)2SO4
1% Triton® X-100
100μg/mL BSA
10×Buffer #2
1.2M Tris-HCl(pH8.8)
100mM KCl
60mM (NH4)2SO4
1% Triton® X-100
100μg/mL BSA
活性の定義:
75℃において、30分間に10nmolesの全ヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量を1Uとします。
起源:
E.coli 組換体
- 注意事項
PCRには製品に添付されているdNTPsまたは別売りのdNTPs Mixture (2mM) [NTP-201]をご使用ください。他のdNTPsでは、十分な性能が得られない場合があります。
- ワンポイントアドバイス
●PCR産物のクローニング
本酵素のPCR産物は平滑化されているため、平滑末端クローニング法によってクローニングできます。その際ベクター側を脱リン酸化処理している場合、PCR産物のリン酸化を行うか、5'リン酸基のついたプライマーを使用する必要があります。
また、本酵素のPCR産物は平滑化されているため、直接TAクローニングすることはできません。
専用のTAクローニングキット「TArget Clone -Plus-」[TAK-201]を用いると簡便・高効率にTAクローニングが可能です。
●PCR条件の設定について
伸長反応は、ターゲット1kbに対して30sec.を標準とします。過剰の伸長反応は、PCR産物のスメアリングを招く場合があります。スメアリングが認められる場合は、伸長反応の時間を短くするか酵素量を減らして検討します。
本酵素は耐熱性が高いため、GCリッチな鋳型等、高次構造を取りやすい鋳型の場合には、変性反応を96℃以上で行うことができます。
●プライマーの設計
本酵素は、3'→5'Exonuclease活性を有するため、プライマーはTaq DNA polymeraseの場合に比べ、長めの設定を行うことをお勧めします。また、Tm値が高いプライマーを使用する場合は2ステップPCRが可能です。また、3'側にミスマッチのあるプライマーは、本酵素によって修正を受ける場合があります。
※プライマーのTm値の計算は、最近接塩基対法(Nearest Neighbor method)を用いております。プライマーのTm値計算表(EXCEL)は、こちらからダウンロードできます。イノシンを含むプライマーのTm値はこの方法では計算できません。
●添付バッファーについて
本酵素には、2種のバッファーが添付されています。通常は#1を使用しますが、ターゲット長が4kb以上の場合や、#1でスメアリングが生じた場合は、#2の使用をお勧めします。
●Long PCR
本酵素は、Long PCR用ではありません。長いターゲットを正確に増幅したい場合は、KOD -Plus- / KOD -Plus- Ver.2もしくはKOD FXをお薦めします。
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トラブルシューティングは
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- ※ 法規制について
- 毒: 毒物及び劇物取締法[医薬用外毒物]
- 国: 国民保護法[毒素]
- 劇: 毒物及び劇物取締法[医薬用外劇物]
- 組: カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による
- 危: 消防法[危険物]
- 生物の多様性の確保に関する法律)
- P: PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)[届け出義務物質]
- 申: ご購入時に申込書の提出が必要な製品
- 労: 労働安全衛生法[通知または表示義務物質]
- なし: 上記法令や申込書の提出に該当しない製品