高効率DNAフラグメント抽出キット
MagExtractor™ –PCR & Gel Clean up-
TOYOBO
価格表
用途
●酵素反応後のDNA溶液からのDNAの精製
●アガロースゲル(TBE及びTAEゲル)からのDNAの精製
説明
酵素反応後のDNA溶液や電気泳動後のアガロースなどから高純度のDNA断片を抽出・精製するためのキットです。
本キットは、磁性シリカビーズに、溶液中のDNAを吸着させて回収する方法を原理としており、簡便に低コストで抽出することができます。精製されたDNAは、タンパク質や塩等の不純物を含まず、PCRなどのシーケンス・制限酵素処理・ライゲーションなどさまざまな用途に使用できます。
本キットは、PCR反応後のプライマー(プライマーダイマー)・dNTPsの除去、アルカリホスファターゼ処理等の反応後の脱タンパク処理、エレクトロポーレーション前のDNAサンプル脱塩処理、及び酵素反応後のバッファー置換等、さまざまなサンプルからDNA断片を抽出・精製することができます。電気泳動後のアガロースからの精製においては、NaIよりも強力なカオトロピック剤を使用しているため、室温にて短時間でアガロースを融解することができます。また、シリカゲルやマトリックスを使用した市販のスピンカラム等と違い、サンプル量に応じて処理スケールを自在に変更できるため、経済的で便利です。
本キットは、磁性ビーズ分離用スタンドを用いて使用できます。
特長
●さまざまなサンプルから収率良く精製
酵素反応溶液や、電気泳動アガロースゲルから高純度のDNAを平均70%以上の回収率で精製することができます。
●簡便に短時間で抽出
磁性シリカビーズへのDNAの吸着を基本原理としており、簡便に短時間(DNA溶液から約5分、アガロースゲルからは約15分)で約100bp~50kbのDNAを精製できます。アガロースゲルからの精製の場合、従来アガロース融解に必要であったヒートブロックや湯浴は不要です。
●安全
有害なフェノール/クロロホルム処理を必要としません。
●低コスト
1サンプル当たり¥140と、高いコストパフォーマンスを実現しています。
原理
実施例
1.溶液からのDNAの回収
λDNA からのPCR(120bp、1kb、2kb)を行った反応液、及びφX174/HinfⅠ Marker(0.25μg/μL)各100μlよりキットのプロトコールに従って精製を行い、100μlの滅菌水中に回収を行いました。回収後、PCR産物はアガロースゲル電気泳動にて、またMarkerはアクリルアミド電気泳動にて解析を実施しました。
その結果、当社キットにより目的のDNA断片が高純度に回収できており、PCR産物(1kb)に見られたプライマーダイマーは除去されていることが分かりました。また、当社キットにおいては、他社キット同様にcut offの境界は40〜60bpにあることが推定されました。
2.アガロースゲルブロックからのDNAの回収
PCR溶液(120bp、1kb、2kb)、及びλDNA溶液(48.5kb)各40μLをそれぞれTBEアガロースゲル及びTAEアガロースゲルにて電気泳動を行い、目的バンドを切り出し、本キットを用いて精製しました。40μlの滅菌水中に回収した後、電気泳動にて回収率を評価しました。その結果、それぞれのPCR産物の回収率は約70〜80%、λDNAの回収率は60%程度であることが分かりました。またこの検討で、他社キットの中には極端に収量が低いものがあることが分かりました。
電気泳動写真において回収前後でλDNAの移動度に差が認められるますが、これは回収前後でDNA溶液の塩濃度が異なることに起因していると考えられます。
なお、回収されたDNAはシーケンシング・制限酵素処理・ライゲーション反応などのさまざまな用途に使用可能であることを、他の実験により確認しています。
- 製品内容
吸着液 88mL×1本 洗浄液 132mL×1本 磁性ビーズ 8.5mL×1本
キットの他に以下の試薬が必要です。
滅菌水
エタノール
- 注意事項
吸着液、洗浄液はタンパク質変性剤を含有しています。取扱いには十分に注意し、体に付着した場合は速やかに流水にて洗浄してください。
- 基本反応条件
本キットは、以下のステップによって高純度のDNAの精製を行います。
1) DNA溶液にカオトロピック剤を含む吸着液を加えます。アガロースブロックの場合には吸着液の添加によってアガロースを融解させることができます。
2) 磁性シリカビーズを添加、混合することにより、サンプル中のDNAをシリカ表面へ吸着させます。
3) 洗浄液を使用してビーズを洗浄し、タンパク質・塩・dNTPs・プライマーなどの不純物を除去します。
4) 滅菌水又は低塩濃度のバッファーなどを使用して、ビーズからDNAを溶出し、回収します。
- 備考
MagExtractor™ シリーズの各キットに含まれる磁性ビーズは、それぞれ組成が異なるので、他のキットの磁性ビーズを流用することはできません。
- ワンポイントアドバイス
●B/F(固/液)分離について
本キットをマニュアルで使用する場合、磁性ビーズ分離用スタンド(Magical Trapper®)を用いると簡便です。磁性ビーズ分離用スタンドの代わりに簡易卓上遠心機によってもB/F分離を行うことができます。
●一本鎖DNAの精製について
本キットは一本鎖DNAの精製には適しません。
●回収サンプルについて
回収されたDNA溶液には、若干のエタノールが含まれる。エタノールを蒸発させる必要がある場合には、溶出前にDNAが吸着した磁性ビーズを55℃で5分加熱すると効果的です。
●精製に使用するビーズ量
本キットの磁性ビーズは30μL当たり最大約5μgのDNAを吸着可能です。使用の際には、2.5μgのDNA精製につき磁性ビーズを30μl使用するとして、必要があれば反応スケールの変更を行うことができます。
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トラブルシューティングは
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English Page
- ※ 法規制について
- 毒: 毒物及び劇物取締法[医薬用外毒物]
- 国: 国民保護法[毒素]
- 劇: 毒物及び劇物取締法[医薬用外劇物]
- 組: カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による
- 危: 消防法[危険物]
- 生物の多様性の確保に関する法律)
- P: PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)[届け出義務物質]
- 申: ご購入時に申込書の提出が必要な製品
- 労: 労働安全衛生法[通知または表示義務物質]
- なし: 上記法令や申込書の提出に該当しない製品