サブクローニング用大腸菌コンピテントセル
Competent Quick DH5a
TOYOBO
価格表
用途
●アンピシリン、及びカナマイシン培地を用いる大腸菌の高速形質転換
説明
本製品は、短時間で高い形質転換効率が得られるように調製されたサブクローニンググレードの大腸菌DH5αコンピテントセルです。
従来のコンピテントセルでは、形質転換に1.5~2時間を要しましたが、本製品では、10分以下のプロトコールで確実に形質転換体を得ることができます。本プロトコールでは、アンピシリンの場合、SOC培地を用いたものに比べ約1/3~1/10(3×107以上)の効率を得ることができます。カナマイシンの場合も約1/3~1/10程度です。しかし、カナマイシンに関しては、大腸菌が薬剤濃度に影響を受けやすいため、薬剤
濃度に注意が必要です。
遺伝子型
●DH5α
deoR, supE44, hsdR17(rk-, mk+),
phoA, recA1,endA1,gyrA96, thi-1,
relA1, D(lacZYA-argF)U169,
f80dlacZDM15, F-, l-
※DH5αは、dam+です。GATC部位の
アデニンはメチル化されます。
特長
●簡便・迅速に形質転換可能
約10分間で形質転換が完了します。
pBR322を用いて形質転換を行い、アンピシリンにてセレクションした場合、≧3x107 transformants /μg・pBR322の効率が得られます。
●保存安定性良好
-80℃で少なくとも3ヶ月は安定です。さらに長期間保存される場合には液体窒素中での保存をお勧めします。
●高いコストパフォーマンス
20本入りです。
実施例
1. さまざまな抗生物質を使用した場合における形質転換効率
pBR322(Ampicillinr , Tetracycliner)、pAK119M(Kanamycinr)、pAT5(Chloramphenicolr)の各プラスミド 10pg / 5μL TE buffer を用いて基本反応条件で形質転換を行い、各抗生物質でセレクションした場合の形質転換効率の評価を行いました。また、同時に、本プロトコールに SOC 培地での培養ステップ(37℃、30 分間あるいは 60 分間)を追加したプロトコールでも評価を行いました。その結果、アンピシリン及びカナマイシンでセレクションした場合には、わずか 10 分間の本プロトコールで 108 transformants /μg・plasmid 以上の効率が得られました。一方、テトラサイクリン及びクロラムフェニコールでセレクションした場合では、ヒートショック後に SOC 培地での培養ステップを追加することにより、108以上の効率が得られることが分かりました。
なお、本実験では、LB 寒天培地の各抗生物質は下記の濃度にて実施しました。
・アンピシリン(Amp):50μg/mL
・カナマイシン(Kan):10μg/mL
・テトラサイクリン(Tet):20μg/mL
・クロラムフェニコール(Cm):100μg/mL
2. プラスミドDNAの液量の形質転換効率への影響
pBR322(Ampicillinr)5pg / 5~50μL TE buffer を用いて基本反応条件で形質転換を行い、各液量での形質転換効率の評価を行いました。その結果、形質転換に供するプラスミドDNA の液量が、コンピテントセル容量の 30%を超えると、効率が低下傾向にあることが分かりました。
3. プラスミドDNA量の形質転換効率への影響
pBR322(Ampicillinr) 1pg~100ng / 5μL TE buffer を用いて基本反応条件で形質転換を行い、各 DNA 量での形質転換効率の評価を行いました。その結果、形質転換に供するプラスミド DNA量が、コンピテントセル100μLに対し10ngを超えると、効率が低下傾向にあることが分かりました。
参考文献
1)M. Mandel and Higa, A., J. Mol.Biol., 53: 159-162(1970)
2)M. Dagert and S. D. Ehrlich, Gene, 6: 23-28(1974)
3)S. R. Kushner, in Genetic Engineering(H. W. Boyer, and S. Nicosia, Eds.),17-23, Elsevier/North Holland, Amsterdam(1978)
4)D. Hanahan, J. Mol. Biol., 166:557-580(1983)
5)H. Inoue, H. Nojima and H.Okayama, Gene, 96: 23-28(1990)
- 製品内容
Competent Cell 0.1mL×20本
※SOC培地、及びポジティブコントロールは含まれていません。
- 注意事項
・エレクトロポレーションには使用できません。
・テトラサイクリンやクロラムフェニコールに関しましては、耐性の機構が異なるため本プロトコールには適しません。Competent high DH5α [Code.DNA-903F]のご使用をお勧めします。
・ライブラリーグレードの形質転換の場合もCompetent high DH5α [Code.DNA-903F]のご使用をお勧めします。
- 基本反応条件
本品(0.1mL)を融解する
↓
add : DNA 1pg-10ng
氷中、5min.
42℃、30sec.
↓
プレートに適量を播種
37℃、終夜培養
- ワンポイントアドバイス
●形質転換に使用するプラスミドの容量について
コンピテントセル容量の25%以上のDNA溶液を添加すると、効率が半減します。また、ライゲーション反応後の溶液をそのまま形質転換に用いる場合は、コンピテントセルの液量の10%(v/v)以下で行ってください。
●形質転換に使用するプラスミドのサイズについて
プラスミドの大きさが7.5kbを越えると、サイズが大きくなるにしたがって効率は低下します。pBR322(4361bp)の形質転換効率に対して、10kbでは約50%、15kbでは約20%に低下します。また、プラスミドのサイズが10kb以上の場合、形質転換できても、大腸菌での複製中に欠失が起こる場合があります。
●形質転換に使用するプラスミド量について
形質転換に使用するプラスミドの量は、0.1pg~10ngの範囲をお勧めします。10ng以上では、形質転換効率は低下します。
●形質転換に使用するコンピテントセルの容量について
形質転換に使用するコンピテントセルは、50 ~200μLの間では効率に変化がないことを確かめています。10μLでは効率は半減、400μLでは倍になります。
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トラブルシューティングは
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- ※ 法規制について
- 毒: 毒物及び劇物取締法[医薬用外毒物]
- 国: 国民保護法[毒素]
- 劇: 毒物及び劇物取締法[医薬用外劇物]
- 組: カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による
- 危: 消防法[危険物]
- 生物の多様性の確保に関する法律)
- P: PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)[届け出義務物質]
- 申: ご購入時に申込書の提出が必要な製品
- 労: 労働安全衛生法[通知または表示義務物質]
- なし: 上記法令や申込書の提出に該当しない製品