コーヒーブレイク
ロング PCR の特異性を上げるコツ!
■はじめに
近頃はショートリードだけでなく、ロングリードシーケンスも盛んに行われるようになりましたね。中でも、特定の領域をPCRによって増幅してシーケンスするアンプリコンシーケンスは、コストやデータ量を抑えて特定の領域を解析できる手法です。
ただ、ロングPCRの際に、バンドがスメアになる、目的以外のバンドが出る、といった経験をした方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、当社PCR試薬を用いて、ロングPCRの特異性を上げるためにPrimer濃度の検証をしてみました!
■実験方法
KOD FX [Code No.KFX-101] を⽤いて、ヒトゲノムDNAをテンプレートとして 17.5 kb、または 24 kb のターゲットの増幅を実施しました。その際、Primer終濃度を 0.05~0.4 μM の間で変化させました。
[反応液組成]
滅菌水 X μL
2× PCR buffer for KOD FX 25 μL
2mM dNTPs 10 μL
10 μM Forward Primer final 0.05~0.4 μM
10 μM Reverse Primer final 0.05~0.4 μM
KOD FX (1.0 U/μL) 1 μL
Template DNA Y μL
Total Volume 50 μL
*他社品については、プロトコルに従って調製
[PCRサイクル条件]
94 ℃, 2 min
↓
98 ℃, 10 sec
74 ℃, 18 min 5 cycles
↓
98 ℃, 10 sec
72 ℃, 18 min 5 cycles
↓
98 ℃, 10 sec
70 ℃, 18 min 5 cycles
↓
98 ℃, 10 sec
68 ℃, 18 min 20 cycles
↓
68 ℃, 7 min
■結果
プライマーの終濃度を 0.3 μM 以下にした場合に、単一のバンドが見られるようになりました。

一般的に、Primer濃度は 0.15~0.3 μM 程度が推奨されますが、ロングPCRにおいては、プライマーが別の場所に結合してしまう非特異的な反応を抑えるために、プライマー濃度を低くした方が良いと言える結果となりました。
こちらの実験レポートは KOD FX を用いましたが、この度弊社では、長鎖ターゲット増幅に最適な KOD Long PCR Master Mix を新たに発売いたしました!
ロングPCRを実施される際には、最適なプライマー濃度と KOD Long を用いて、検討してみてくださいね!
■最後に
今回使用した製品はこちら
高速・高正確・高成功率 PCR Master Mix(長鎖ターゲット増幅用)
KOD Long PCR Master Mix
●ロングリード解析向けの長鎖ターゲット増幅に最適!
●10 kb 以上のターゲットも 10 sec/kb で増幅







