コーヒーブレイク
植物から精製なしで直接cDNAが合成できるか試してみた!
■はじめに
植物のRNAを解析する際、抽出して精製して…と、手間も時間もがかかりますよね。
クルードなサンプルから直接cDNAが合成できたら簡便なのでは?と思い、当社試薬でできないか試してみました!
■実験方法
液体窒素で凍結したお茶の葉50 mgにPBS 750μgを加え、ペッスルですりつぶし、13,000 g, 4℃, 10 minで遠心した上清(葉の湿重量16.7μg, 1.67μg, 0.167μg, 0.0167μg相当, n=3)をcDNA合成の鋳型として使用しました。
cDNA合成にはQuantAccuracy®, RT-RamDA® cDNA Synthesis Kit [Code No.RMQ-101]、及び他社試薬を用い、その後のリアルタイムPCR にはTHUNDERBIRD® SYBR® qPCR Mix [Code No.QPS-201]、及び植物に共通する遺伝子をターゲットとしたプライマーを用いました。
●cDNA合成(QuantAccuracy®, RT-RamDA® cDNA Synthesis Kit)(他社試薬は推奨条件に従い、実施しました。)
【RNA希釈液の調製】
Lysis Buffer 2μL
Lysis Enhancer 0.45μL
RNase Inhibitor 0.05μL
植物抽出液 0.25μL
Nuclease free water 2.25μL
Total 5μL
【熱変性反応】
Denature 75℃ 1.5 min
4℃ hold
【ゲノム除去反応液の調製】
RT-RamDA® Buffer 0.2μL
gDNA Remover 0.45μL
Nuclease free water 1.35μL
Total 2μL
上記混合液を熱変性後の反応液に添加。
【ゲノム除去反応】
Denature 30℃ 5 min
4℃ hold
【RT-RamDA®反応液の調製】
RT-RamDA® Buffer 1μL
RT-RamDA® Enzyme Mix 0.5μL
RT-RamDA® Primer Mix 0.5μL
Total 2μL
上記混合液をゲノム除去後の反応液に添加。
【RT-RamDA® 反応】
Priming1 25℃ 10 min
↓
Priming2 30℃ 10 min
↓
Reverse transcription and amplification 37℃ 30 min
50℃ 5 min
↓
Inactivation 98℃ 5 min
4℃ hold
●リアルタイムPCR
【qPCR反応液の調製】
Nuclease free water 8.76μL
THUNDERBIRD® SYBR® qPCR Mix 10μL
Forward Primer(50μM) 0.12μL
Reverse Primer(50μM) 0.12μL
上記cDNA溶液 1μL
Total 20μL
【PCRサイクル】
使用機器: Bio-Rad CFX96リアルタイムPCRシステム
初期変性 95℃ 1 min
↓
変性 95℃ 15 sec
伸長 68℃ 45 sec (40 cycles)
■結果
QuantAccuracy®, RT-RamDA® cDNA Synthesis Kit | 他社試薬 |
リアルタイムPCRの結果、QuantAccuracy®, RT-RamDA® cDNA Synthesis Kit でのみ、植物抽出液の添加量に依存した増幅曲線が得られました。QuantAccuracy®, RT-RamDA® cDNA Synthesis Kit を用いることで、植物抽出液の阻害を受けることなく直接cDNA合成できたことが示唆されます。
精製なしでcDNA合成ができれば、手間も時間も削減でき、サンプルのロスも少ないので良さそうですね!
これらの結果は用いるサンプルや解析する遺伝子によっても異なりますので、あくまで参考としてお楽しみください。
気になる方は、お試し用サンプルもご用意していますのでぜひお問い合わせください。
使い方動画も配信中です!
■さいごに
今回使用した製品をご紹介します!
QuantAccuracy®, RT-RamDA® cDNA Synthesis Kit
● シングルセルや微量RNAからcDNA調製可能
1~500細胞または10 ng total RNA以下の微量RNAからcDNAを調製可能です。
細胞だけでなく、植物などのクルードサンプルからもcDNA合成できる可能性があります。
● 検出の難しいサンプルでも解析が可能
cDNA増幅能を活かし、分解が進んだFFPE標本RNAなどの検出の難しいサンプルを解析可能です。
* RT-RamDA® は国立研究開発法人理化学研究所の登録商標です。