コーヒーブレイク
プライマーのTm値はどれくらいPCRに影響があるのか試してみた!
■はじめに
プライマーに合わせてアニーリング温度を設定するというのは、PCRの基本ですが、Tm値が異なるプライマーを用いる場合は何回も反応を実施する必要があり、けっこう手間がかかりますよね。
今回は、あえてTm値を無視して一定のアニーリング温度でPCRをかけたらどうなるか試してみました!
■実験方法
ヒトゲノムDNA を鋳型に、Tm値が59~71℃のプライマーを用いて、アニーリング温度を60℃に固定した条件でPCRを行いました。PCR酵素には、KOD One® PCR Master Mix -Blue- [Code No. KMM-201] とA社PCR酵素を用いました。(アニーリング温度を60℃とする以外、A社の反応液組成、PCRサイクルはA社推奨条件で実施しました。)
(KOD One® PCR Master Mix)
滅菌蒸留水 10μL
KOD One® PCR Master Mix 12.5μL
10μM Forward Primer 0.75μL
10μM Reverse Primer 0.75μL
25ng/μL ヒトゲノムDNA 1μL
Total Volume 25μL
PCR 変性 98℃ 10秒 → アニーリング 60℃ 5秒 → 伸長 68℃ 1秒 (30 cycles)
■結果
Lane | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
Tm (℃) | 59 | 59 | 62 | 62 | 65 | 65 | 68 | 68 | 71 | 71 |
様々なTm値のプライマーを用い、アニーリング温度60℃でPCRを実施したところ、KOD One® PCR Master MixではどのTm値のプライマーでも明確なバンドが確認されました。KOD One® PCR Master Mixは特異性が高いため、ある程度、Tm値が異なるプライマーでも同一のアニーリング温度で増幅することができそうです!
これらの結果はターゲットやプライマー配列によっても異なりますので、あくまで参考としてお楽しみください。
■さいごに
今回使用した製品はこちら
KOD One® PCR Master Mixシリーズ
高い正確性・増幅効率をもつ改変型KOD DNA polymeraseを用いたPCR用2×マスターミックスです。
優れた正確性と簡便さを持ち、高速PCRが可能です。
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