コーヒーブレイク
ボルテックスってどれくらいまでかけたらダメなの?
■はじめに
よく酵素はボルテックスをかけてもいいですか? というお問い合わせをいただきます。
ボルテックスをかけてはいけないというイメージがありますが、どれくらいまでなら問題ないのか試してみました。
■実験方法
逆転写試薬ReverTra Ace® qPCR RT Master Mix [Code No.FSQ-201] とHeLa total RNA(0.125ng)をピペッティングもしくはボルテックス(3sec./30sec./3min.)をかけて混合し、cDNA合成を実施しました。
合成したcDNAをテンプレートとし、THUNDERBIRD® SYBR® qPCR Mix [Code No.QPS-201] でリアルタイムPCRを行ってCt値を比較しました。
(cDNA合成)
Nuclease-free Water XμL
5x RT Master Mix 2μL
RNA template 0.125ng
Total volume 10μL
↓
ピペッティング10回、ボルテックス(3200rpm)3sec.、30sec.、3min.で混合
↓
37℃, 15min.
↓
98℃, 5min.
↓
4℃, hold.
(リアルタイムPCR)
Nuclease-free Water 6.6μL
qPCR Mix 10μL
Forward Primer 0.5μL(6pmol)
Reverse Primer 0.5μL(6pmol)
50× ROX reference dye 0.4μL
HeLa RNA由来cDNA 2μL
Total Volume 20μL
使用機器:Applied Biosystems® StepOnePlusTMリアルタイムPCRシステム
初期変性 95℃ 60秒
↓
PCR 変性95℃ 15秒 → 伸長 60℃ 45秒 (40 cycles)
↓
融解曲線分析 (Melting / Dissociation Curve Analysis)
■結果
ピペッティング |
ボルテックス |
ボルテックス |
ボルテックス |
||||
21.32 |
21.33 |
21.54 |
21.44 |
24.97 |
24.97 |
30.61 |
30.41 |
21.64 |
21.54 |
21.48 |
21.47 |
24.79 |
24.76 |
30.47 |
31.18 |
21.59 |
21.42 |
21.50 |
21.47 |
24.74 |
24.76 |
30.28 |
30.37 |
21.53 |
21.34 |
21.55 |
21.47 |
25.13 |
25.09 |
31.11 |
30.64 |
21.32 |
21.25 |
21.56 |
21.49 |
24.87 |
24.84 |
30.51 |
30.81 |
21.41 |
21.36 |
21.52 |
21.40 |
25.00 |
24.95 |
30.40 |
30.80 |
21.44 |
21.42 |
21.56 |
21.48 |
25.16 |
25.17 |
30.53 |
30.46 |
21.50 |
21.43 |
21.35 |
21.56 |
25.32 |
25.10 |
30.68 |
30.69 |
平均 |
21.43 |
平均 |
21.49 |
平均 |
24.98 |
平均 |
30.62 |
ピペッティング と ボルテックス3sec.の比較
ピペッティング と ボルテックス 30sec.の比較
ピペッティング と ボルテックス 3min.の比較
30秒以上ボルテックスをかけるとCt値が遅れるという結果になりました。
過剰なボルテックスは逆転写反応に影響するようです。
3秒程度では特に差はありませんでしたので、1~2秒の軽いボルテックス混合は問題なさそうです。
(3分ボルテックスをかけた所員いわく、手が痒くなるらしいです…)
これらの結果は用いる反応試薬や鋳型量によっても異なりますので、あくまで参考としてお楽しみください。
■さいごに
今回使用した製品をご紹介します!
ReverTra Ace® qPCR RT Master Mixシリーズ
●完全プレミックス試薬
-20℃においても凍結しない5x濃度の完全プレミックスタイプ。
鋳型RNAと水を加えるだけの操作で簡便にcDNAを合成できます。
今回のボルテックス影響比較でも、cDNA合成が早く終わって大活躍でしたね。
●簡便、迅速にゲノムDNAを除去
ReverTra Ace® qPCR RT Master Mix with gDNA Remover では、さらに強力なDNA分解活性を有する gDNA Removerを使用して、逆転写反応前に鋳型RNAを処理することによって、約20分でゲノムDNAフリーのcDNAを簡便に調製することができます。
* Applied Biosystems® は、Applied Biosystems Inc.の登録商標です。
* StepOnePlusTM は、Applied Biosystems Inc.の商標です。
* SYBR® は、Molecular Probes Inc.の登録商標です。