実施例
KOD FX 実施例31 ホルマリン固定パラフィン包埋切片から抽出したDNAの解析
【サンプル】
ホルマリン固定パラフィン包埋材料(ヒト)
(今回使用した切片は厚さ約10μm で、大きさは1cm × 2cm程度)
【前処理】
5~10μmパラフィン包埋切片を1.5mLチューブに移す
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脱パラフィン
キシレンを入れ5分放置後遠心してキシレンを除去
(3回繰り返す)
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脱キシレン
100%エタノールを入れ5分放置してエタノールを除去
(4回繰り返す)
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エタノールを除いた後、70℃・5分でエタノールを完全に除去
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10mM Tris-HCl (pH 8.0) 300μLを加えた後、Proteinase K(10mg/mL)を10μL加え、37℃で一晩放置
※本実験では、10mM Tris-HCl (pH 8.0)を300μL添加していますが、サンプル量に応じて50~300μLを使用します。Proteinase Kはその量に応じて、増減させてください。
※切片が大きいときは、buffer を加えた後、眼科用のはさみで1mm以下になるぐらいまで細かく切ってからProteinase Kを添加します。
※37℃で一晩おいて未消化の組織が多いときは、さらに5~10μL Proteinase Kを加えて2~3時間消化します。
※組織の細胞密度や種類によって消化の具合はかなり変化します。線維組織はProteinase K で消化されないので、筋肉や膜などが多い組織は完全には溶解しません。
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加熱処理(70℃、10 min.) ⇒ そのままPCR用サンプルとして使用②
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カラム精製(シリカメンブレンを用いたスピンカラムタイプを使用) ⇒ DNA鋳型として使用①
【ターゲット】
Human β-globin 268bp
【プライマー】
Primer F : GAAGAGCCAAGGGCAGGTAC
Primer R : CAACTTCATCCACGTTCACC
参考文献:Am.J.Pathol. 154;67-75,1999
*Proteinase K処理後のライセートは1μLを目安に添加します。
精製DNAの添加量は、20μL反応系で約100ngを目安にします。組織の量が少なかった場合は回収量が少なくなりますので、カラムから最少量でDNAを溶出し、適量を添加します。添加量が1μLを超える場合は、滅菌蒸留水の量を調整します。
**ホルマリン固定組織から得られたDNAの増幅では、最初の変性ステップを7~15分程度に設定することで良好な結果を得ることができるようです。
【データご提供】
福岡大学 医学部 病理学講座
石黒 晶子 先生、竹下 盛重 先生、福重 智子 先生
【先生からのコメント】
他社のポリメラーゼを用いた場合、精製DNAを用いても増幅できない検体が多かった。一方、KOD FXを用いることで精製DNA及び、Proteinase K処理後のパラフィン包埋材料のライセートから高効率にPCR産物を得ることができた。小さな組織の場合、精製するとDNAがより少なくなるので、精製しないでPCRに使えるのが良い。
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