実施例
KOD One 実施例15 Aspergillus fumigatus flbC 遺伝子欠損株の PCR ジェノタイピング
データご提供 : 東北医科薬科大学 薬学科 感染生体防御学教室 田中 大 様
<実験の目的>
PCR 法を用いてA. fumigatus flbC 遺伝子組換体を選別する。
<実験方法>
【サンプルの種類】
Aspergillus fumigatus 胞子
【サンプルの調製方法】
極微量(チップの先に付いたか付かないくらい)の Aspergillus fumigatus 胞子を TE buffer 100μLに懸濁し、電子レンジ処理(500W、2分)して上清を得た。
【ターゲット遺伝子名と長さ】
flbC (Afu2g13770) : 1,500 bp ptrA : 2,600 bp
【プライマー配列】
Forward Primer : TCTCATCTGCTCCCTTCATCT
Reverse Primer : ATTGTACAAGGGACGAGAGCC
■KOD One® PCR Master Mix
【反応液組成】 【PCRサイクル】
(μL) | ||||||
滅菌蒸留水 | 8.8 | 98℃ 10sec. | 40cycles | |||
KOD One® PCR Master Mix | 10 | 68℃ 20sec. | ||||
10μM Forward / Reverse Primer | 各0.1 | |||||
電子レンジ処理 胞子懸濁液 | 1 | |||||
Total Volume | 20 |
■KOD FX Neo
【反応液組成】 【PCRサイクル】
(μL) | ||||||
滅菌蒸留水 | 7.4 | 98℃ 10sec. | 40cycles | |||
2×PCR Buffer | 10 | 68℃ 240sec. | ||||
20mM dNTPs | 1 | |||||
10μM Forward / Reverse Primer | 各0.1 | |||||
KOD FX Neo | 0.4 | |||||
電子レンジ処理 胞子懸濁液 | 1 | |||||
Total Volume | 20 |
【サイクラー機種】T100 サーマルサイクラー (Bio-Rad)
<結果・考察>
Aspergillus fumigatus A1159株を親株とし、 flbC 遺伝子のコード領域上流・下流にそれぞれ相同な配列、及びピリチアミン耐性遺伝子ptrAの配列を含む DNA 断片を挿入した組換体 (flbC 遺伝子欠損株 #1~3) を取得した。
これら組換体および親株の胞子を電子レンジ処理して得られた溶液を鋳型とし、KOD One とKOD FX Neo をそれぞれ用いてコロニー PCR を行った。その後、アガロース電気泳動法にて遺伝子組換の成否および両酵素の性能比較を行った。
その結果、いずれの酵素を用いた場合でも、遺伝子組換体・親株のどちらでも問題なく PCR 生成物が得られた。すなわち、どちらの酵素も、コロニーPCR法による遺伝子組換の成否観察に用いることができた。一方、PCR に要した時間は、KOD One はおよそ55分、KOD FX Neo は 200 分であった。
これらのことから、KOD One はクルードサンプルに強い酵素でありながら、コロニーPCR に要する時間を短縮できる「使える酵素」であることが分かった。
<感想・ご意見等>
同僚に「カビ胞子のコロニー PCR には KOD FX Neo を使うといいよ」と教わって以来、遺伝子組み換えカビのジェノタイピングには KOD FX Neo ばかり使ってきました。しかしこの KOD One は、伸長に要する時間が大幅に短縮されているにも関わらず、KOD FX Neo 並みにクルードサンプルに強いということで驚かされました。今後もKOD Oneを使い続けると思います。
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