実施例
KOD One 実施例11 高GC配列 mouse c-Maf cDNA全長配列の増幅
データご提供 : 福島県立医科大学 医学部 放射性同位元素研究施設 関亦 正幸 先生
<実験の目的>
動物細胞発現ベクター構築のための mouse c-Maf cDNA全長配列を増幅する。
<実験方法>
【サンプルの種類】
マウスT細胞から抽出したtotal RNA
【サンプルの調製方法】
ISOGEN(ニッポンジーン)によりtotal RNAを調製し、その後PrimeScript RT Master mix(Perfect Real Time)(タカラバイオ)にてcDNA合成したものを鋳型に用いた。
【ターゲット遺伝子名と長さ】
mouse c-Maf cDNA / 1.2 kb
【プライマー配列】
Forward Primer:GGGATCCGATGGCTTCAGAACTGGCAA
長さ: 27 mer Tm: 65.1 ℃
Reverse Primer:GGTCGACCATGAAAAATTCGGGAGAGG
長さ :27 mer Tm: 63.5 ℃
■KOD One® PCR Master Mix -Blue-、A社 高速・高正確 PCR Master Mix 共通
【反応液組成】 【PCRサイクル】
(μL) | ||||||
各PCR Master Mix | 3 | 94℃ 2min. | ||||
10μM Primer F | 1 | 98℃ 10sec. | ||||
10μM Primer R | 1 | 55℃ 5sec. | 30cycles | |||
cDNA | 1 | 68℃ 15sec. | ||||
Total Volume | 6 |
※A社 高速・高正確 PCR Master Mixの条件でPCRを行っています。
【サイクラー機種】
Bioer Technology LifeECO ver 2.0
<結果・考察>
KOD OneはGC含量の多いc-Maf cDNAの1.2 kbを増幅することができた。A社高速・高正確 PCR Master Mixは増幅できるがGC含量の多い領域を欠失した産物ができる。
<感想・ご意見等>
増幅配列はGC含量が70%と高く、局所的に94%を超えてGCが連続する配列が存在している。そのため、通常のTaqポリメラーゼでは増幅できないか、できたとしても高連続GC配列を欠失した短鎖として増幅されてしまう。DMSOを添加することでPCR反応が改善されることはあるが、常に安定した結果が得られるかは不明である。比較のA社高速・高正確 PCR Master Mixも、その中においては増幅能力の高い正確性の高い酵素であるが、図(レーン2)にあるように高連続GC配列を欠失した短鎖として増幅されている。これに対して、KOD One® PCR Master Mix -Blue-(レーン1)では、全長の1.2kbの増幅がメインのバンドとして検出されている。このメインバンドをクローニングし、シークエンスしたところ塩基配列が正しいことが確認できた。このことから、KOD One® PCR Master Mix -Blue-は、高連続GC配列の正確な増幅にも適していることが判明した。
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