課題解決事例
U大学医学部付属病院 病理学研究室
cDNA合成用のRNA調製に、多くの手間と時間を費やす研究員たち…
工程を削減して作業時間を大幅短縮。幅広く活用できるcDNA合成キットとは!
背景
U大学医学部付属病院の病理学研究室では、連日多くの初代細胞を使った遺伝子発現解析をこなしていた。組織に近い初代細胞を使用することで、とても有意義な解析が行えるのが特長だったが、cDNA合成用のRNAの調製に時間がかかる難点があり、改善に向けて対策を検討することにした。
課題
市販のcDNA合成キットでは、初代細胞がRNaseの影響を受けてしまう…
研究員たちが遺伝子発現解析の工程を見直したところ、問題点が改めて浮き彫りになってきました。U大学ではRNAの発現解析を行う際、細胞からRNAを精製し、cDNAを合成した後にリアルタイムでPCRを実施していました。このRNA精製の工程に、多くの手間と時間がかかっていたのです。
病理学研究室のA研究員はこう語ります。
「私たちは毎日、多数の初代細胞の遺伝子発現解析を行っていましたが、RNA精製に時間がかかることで、研究員たちはこの工程に、多くの手間と時間を費やさざるを得ない状況でした」
この問題を解決するため、A研究員たちは細胞からRNA精製せず、cDNA合成が可能なキットの活用を試してみることにしました。まずは、培養細胞のライセートからcDNAを合成するキットを利用しましたが、テストを行った結果、いくつかの初代細胞でRNaseの影響を強く受けてしまい、導入には至りませんでした
「市販のキットを活用すれば、これまでの手順と比べると時間短縮につながる見込みがありました。しかしキットを利用した場合、いくつかの初代細胞でRNaseの影響を強く受け、リアルタイムPCRの結果が得られなかったり、ばらついたりするため、根源的な問題は解決しませんでした」(A研究員)
具体的な解決策を見つけられないまま、A研究員たちは、今日も多くの初代細胞の遺伝子発現解析をせざるを得ませんでした。
課題のポイント
・相当数の解析を行っており、RNA精製の工程に多くの手間と時間を費やしていた
・培養細胞のライセートからcDNAを合成するキットを試したが、RNaseの影響を強く受けてしまうケースがあり使用できなかった