コーヒーブレイク
増幅しにくいターゲットを増幅してみた!
■はじめに
PCRの増幅がうまくいかないことはないでしょうか?
その原因として、ターゲットの配列がGCリッチだったりATリッチだったりして、配列が偏っていることが増幅しにくい原因かもしれません。
今回は、KOD -Multi & Epi-®を用いて、増幅が難しいとされるATリッチなターゲット(バイサルファイト処理後のDNA AT率61.8~69.9%)を増幅してみました。
ちなみに、バイサルファイト処理後のDNAはメチル化されていないシトシン(C)がウラシル(U)に変換されています。DNAのメチル化解析で使用される手法ですが、ターゲット配列がATリッチとなるため、PCRでのDNA増幅が難しいとされています。
■実験方法
バイサルファイト処理を行ったJurkat 細胞由来のメチル化DNAを鋳型として使用して、900~1500bpの各種ターゲットをKOD -Multi & Epi-®で以下の条件にて増幅しました。
【反応液組成】
滅菌蒸留水 20 μL
2×Reaction Buffer for KOD -Multi & Epi-® 25 μL
10μM Forward Primer 1.5 μL
10μM Reverse Primer 1.5 μL
55ng/μL バイサルファイト後DNA 1 μL
KOD -Multi & Epi-® 1 μL
Total Volume 50 μL
【PCRサイクル条件】
94 ℃, 2min
↓
98℃, 10sec.
60℃, 30sec.
68℃, 30sec./kb 40 cycles
■結果
KOD -Multi & Epi-®は約1.5 kb までのターゲットについて良好な結果を示しました。
さらに、1583bpの増幅産物に関して、クローニングキット(TArget CloneTM -Plus-)を用いてクローニングした後に、シーケンス解析を行い、バイサルファイト変換されたターゲットが増幅されていることを確認しました(データ示さず)。
難配列への耐性の他、クルードサンプルの影響を受けにくい等の特徴もございますので、PCR増幅がうまくいかないターゲットがありましたら、ぜひKOD -Multi & Epi-®をお試しください。
KOD -Multi & Epi-®はTaq DNA ポリメラーゼの約11倍の正確性を持ちますので、バイサルファイトシーケンスにもお勧めです。
■さいごに
今回使用した製品はこちら
マルチプレックスPCR・バイサルファイト処理DNA用高正確性PCR酵素
KOD -Multi & Epi-®
●均一な増幅(低バイアス)
●ウラシルを多く含むDNAからの増幅
●高正確性
●クルードサンプルに対応
●高効率
*TArget Clone は、東洋紡株式会社のTAクローニングキットの商標です。
*KOD -Multi & Epi- は、東洋紡株式会社のPCR酵素の登録商標です。