コーヒーブレイク
FFPEから遺伝子発現解析してみた!
■はじめに
FFPEとはホルマリン固定パラフィン包埋(Formalin fixed paraffin embedded)といい、組織や細胞のサンプルを保存・処理するための方法です。固定されたサンプルは、臨床検体を長期保存するために広く使用され、主に形態診断や分子診断に利用されていますが、近頃、遺伝子解析にも利用拡大されています。
お持ちの眠っているFFPEサンプルが活用できるかもしれません!
しかし、注意点として固定の過程や長期保存の影響でDNAやRNAの劣化が起こり、解析が難しいという点があります。
特にFFPE由来のRNAでは、分解によってpolyA鎖がないことが多く、polyAを標的としたオリゴ dTプライマーを使用せず、ランダムプライマーを使用する必要があります。
今回は、GenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit(Code No. RML-101)」にランダムプライマーが含まれている利点を生かして、FFPE由来のRNAを解析してみました。
■実験方法
1ngのFFPE由来のRNAから、GenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit [Code No. RML-101]を用いて、ライブラリー調製を行い、イルミナ社MiSeq®でRNA-Seqを行いました。
使用したFFPE、RNA-Seqの解析条件は以下の通りです。
■結果
本キットを使用することで1万以上の遺伝子を検出することができました。
さらに18S, 28S RNA遺伝子に完全にマッチする配列を計算上除外したランダムプライマーであるNSRプライマー[Code No. NSR-101]を併用することでrRNAの検出を抑え、より高精度での解析が可能でした。
FFPE由来のRNAは分解が激しく、検体によってはRNAが十分に得られないことがあり、実際、1ngといった微量RNAから、1万遺伝子以上を検出できるFFPE解析手法はほとんどありません。
分解が考えられるRNAや微量RNAを解析したい方は、ぜひお試しください。
■さいごに
今回使用した製品をご紹介します!
RT-RamDA®法による NGS解析用ライブラリー調製キット
GenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit
●シングルセルや微量RNAに対応
●RNA全長をカバーするcDNAの合成が可能
●さまざまな種類のRNAの検出が可能、従来技術より検出遺伝子数がアップ
●ライブラリー調製まで対応
●⽅向性情報を維持し、より正確な解析が可能
* Shin-RamDA-seq®とRT-RamDA® は国立研究開発法人理化学研究所の登録商標です。
* GenNext® は、東洋紡株式会社の登録商標です。