コーヒーブレイク
ストランド情報ってなに?
■はじめに
早速ですが、ストランド情報とは何かご存知でしょうか?
近頃、NGS(RNA-seq)でよく聞かれる用語ですね。
ストランド情報とは、2本のDNA鎖のどちらの鎖からRNAが生成されたのかを示す情報のことです。
RNA-seqはストランド情報がわかることでより正確なアライメントを可能とし、アンチセンスRNAなどの遺伝子調節のメカニズム解析には必要不可欠な実験手法になっています。
複雑な遺伝子発現のメカニズムを解析するためにも、ストランド情報の重要性が高まってきています。
東洋紡ではこの度、ストランド情報を維持できるRNA-seq用ライブラリー調製キット「GenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit [Code No. RML-101]」の販売を開始いたしました。
今回は、ストランド情報が維持できることで解析できた実施例を紹介いたします。
■実験方法
平均化したヒト白血病細胞株K562細胞1細胞分からGenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit [Code No. RML-101] を用いてライブラリーを調製し、RNA-seqを行いました。得られたシーケンスデータを、Millefy*を用いて解析し、逆向きに転写されることが知られているMRRFとRBM18のカバレッジを確認しました。
*1細胞RNAシーケンスのリードカバレッジの細胞間変動(細胞ごとのばらつき)を可視化するソフトウェアです。
■結果
結果、MRRFはForward方向でのみカバレッジが確認される一方、RBM18はReverse方向のみでカバレッジが確認されました。ストランド情報の保持により、MRRFとRBM18の転写の方向を明確に分離することができました。
このようにGenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit [Code No. RML-101] では、ストランド情報が保持されることで、同じDNA領域で重なり合うように転写が行われているオーバーラップ遺伝子などでも正確な定量が可能になります。
シングルセル・微量RNAのRNA解析には、ぜひ、GenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit [Code No. RML-101] をご評価いただきたいです。
■さいごに
今回使用した製品をご紹介します!
RT-RamDA®法による NGS解析用ライブラリー調製キット
GenNext® Shin-RamDA-seq® Single Cell Stranded Kit
●ストランド情報を維持しより正確な解析が可能
アンチセンスやオーバーラップ遺伝⼦を明確に⾒つけることができます。
●シングルセルや微量RNAに対応
1〜100細胞または10pg〜1ng total RNAからcDNAの調製が可能です。
●Poly(A) RNAだけでなくRNAの解析が可能
non-poly(A)RNA (lncRNA,pre-mRNA, circRNAなど)や分解したRNAにも使⽤できます。
●RNA全⻑をカバーした解析が可能
⻑鎖RNAやスプライシングバリアントが正確に解析できます。
* Shin-RamDA-seq®とRT-RamDA® は国立研究開発法人理化学研究所の登録商標です。