コーヒーブレイク

「アメリカ東海岸留学日記」 第21回


 

> 2010年 9月 2日  「ベースボールゲーム」 

   今年は世界的に猛暑が続いているようですね。こちらも7月は寝苦しい日が続くこともあり、一時はwall street journalのトップを「記録的猛暑!」という記事が占めたこともあるほどです。しかし、8月に入れば暑さも落ち着き、月末になると涼しくなり夏の終わりを感じ始めます。9月にはすっかり肌寒くなり、 短い秋から長い長い冬へと一気に急降下していきます。日も短くなり、青々としていた木々も一気に葉を落とします。日本のようにゆっくりとした秋がなく、冬が急にやってくるので、夏の終わりには心も体も寂しくなっていきます。
 

   そんなニューイングランド地方では、夏は特別なシーズンです。毎年、夏にラボのアクティビティを行うケースも多いようです。私たちのラボでは、昨年はフロリダにサンプル採集を兼ねた旅行に一週間ほど行きました。今年はさすがにその時間はないということで、教授が野球のボックス席を用意してくれました。ラボやその家族を招いてみなで行くことになりました。ボックス席といっても、レッドソックスのマイナーリーグ、パウソックスのチケットです。レッドソックスの球場はボストンの中心街にあり、チケットをとるのも、実際に球場へ向かうのも、中々大変です。その点、パウソックスは郊外にあり、私の勤める大学からも車で15分、駐車場に困ることも無く、古き良きアメリカの特徴をいっぱい残した球場として、ローカルな人々にはかなり人気のある球場です。松坂投手が調整がてらこのパウソックスでプレーすることもあります。球場の規模が小さいので間近でみることができるという点で、穴場的な球場でもあります。
 

   私自身はそれほど野球観戦に興味があるわけではなかったので、アメリカで野球観戦をするのも、ボックス席に座るのも初めての経験でした。一つのボックスをラボで貸し切り、各自の家族や友人等を招いて、総勢15名ほどになりました。席は外と内と2種類あって、内側はクーラーのきいた部屋にソファー、テーブル、冷蔵庫、キッチン、トイレがあり、外側にはベランダに椅子を作ったようなセットで球場に面した席が用意されています。グラウンドレベルの席なので、グラウンドにいる選手の様子だけでなく、出番を待ったり、休憩している選手達の様子も間近で見ることができ、臨場感があります。
 

   ところで野球といえば、ビールとポップコーン、そしてホットドックです。もちろん、それらは最初から部屋のキッチンに完備されていました。その上に、専属のウェイトレスがメニューを持ってそれ以外の食事や飲み物、デザートのオーダーを取ってくれます。ボックス席の良いところは、野球観戦といってもずっと見ているわけではなく、動き回って人と話したり食べたり飲んだりすることが出来ることです。私を含め、野球に詳しくない人々もハイライトだけ野球に集中しつつ、あとは食事や雑談を楽しんで過ごすことができました。
 

   試合は夜7時から始まり10時くらいまで続きました。家から球場まで近いこともあり、仕事帰りに気軽にグループで楽しむにはとても良いアクティビティだと思います。残念ながら我らがパウソックスは当日負けてしまいました。でも、ホームランの場面があったり、何度かリードしたり、逆転のチャンスもあったりで、 十分楽しむことができました。もちろんメジャーリーグほど派手なアクションはありません。でも野球ファンでない私には、3時間手に汗握って応援するのもいいですが、のんびり観戦できるマイナーリーグのリラックスした雰囲気もなかなか心地の良いものでした。
 

   野球は、アメリカでは最も人気のあるスポーツの一つです。中でも、ボストン•レッドソックスとニューヨーク•ヤンキースのファンは強烈です。勝っても負けても、街中大騒ぎになります。日本でいうところの巨人や阪神ファンといったところでしょうか。あまりに熱いので、私はついて行けずに敬遠していたほどです。でも今回の経験で野球観戦も悪くないと思ってしまいました。これをステップに、体力のあるときに一度くらいはレッドソックス観戦にも行ってみようかと思います。
 

(コンドン)
2010年9月掲載

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