コーヒーブレイク

「アメリカ東海岸留学日記」 第11回


 

> 2008年 12月 31日  「ホリデーとパーティー」 

   みなさんは年末年始いかがお過ごしでしたでしょうか?
こちらはクリスマス休暇直前に大雪が降りました。こちらの雪は、
気候が乾燥しているためかパウダースノーです。眺めるにも遊ぶ
にも楽しいのですが、連日氷点下の気候のため、降った次の日
にはアイスバーンと化してしまいます。そのため降っているそば
から雪かきをせねばなりません。一軒家を持つ家庭では、雪かき
は主に一家のお父さんの仕事のようです。ストリートには、夜中
近くまでせっせと雪かきをするおじさん達が見られます。私は持ち
家ではないのですが、昨年、車が雪とアイスに覆われてしばらく
動かなくなった苦い経験があります。そこで今年は私も、予定していた友人宅でのクリスマスディナーをキャンセルし、おじさん達と一緒に雪かきをすることにしてしまいました。

  こちらでは11月末のthanksgivingから1月のNew Yearまで、1ヶ月以上、ホリデーシーズンが続きます。研究者にはもちろんあまり関係ないのですが、大学の事務方などはサンクスギビングで1週間休暇をとり、2-3週間働いたのち、今度はクリスマスから新年まで2週間の休暇をとるという具合です。サンクスギビングは11月の第4木曜日と決まっているのですが、その翌日はBlack Fridayと呼ばれます。なぜならサンクスギビングの後からホリデーショッピングのシーズンとなるからです。Black FridayのBlackは、買い物客により店が黒字になることが由来だそうです。ラジオやテレビでも、服や電気製品、宝石など、あらゆる商品のセール情報が飛び交います。日本でいうところの年末年始大安売り、のようなものかもしれません。
 

 人々の間では、サンクスギビングやクリスマス当日以外に
も、ホリデーパーティーという名で、ホームパーティーが頻繁に開か
れます。日本でいうところの忘年会です。ただこちらでは、職場のみ
なで外食にいくことはほとんどありません。たいてい個人的な友人同
士でホームパーティーを開くか、あるいは職場ではビル内のどこかで
ピザやビールを軽く飲むという程度になります。アメリカでは基本的
に職場のみなでツルむという習慣はないようです。少々寂しい気もし
ますが、人間関係がさっぱりしている分、仕事に対してメリハリが付
けやすいのも事実です。 

  さて、ホリデーパーティー以外にも、こちらで頻繁に行く機会があるのは、誕生日パーティーです。私は、先日友人の誕生日パーティーに呼ばれてニューヨークまで行ってきました。私の住む街からは車で3時間半ほどです。日本では、誕生日パーティーというと、子供か老人のためのものという印象があります。しかし、こちらでは成人になっても友達を呼んで誕生日パーティーを開くのは一般的なようです。特に30歳、40歳、50歳などのキリのよい数字では、家族や友人と、レストランやバーを借りて盛大なパーティーを開きます。
 

   今回は友人が婚約者のためにサプライズパーティーを企画したので、その手伝いにニューヨーク(NY)まで行くこととなりました。誕生日を迎える主役(birthday boy)に気づかれないように、家族や友人にコンタクトを取らねばならず、なかなか大変です。友人も幼なじみから仕事仲間までと、幅広い層を招きました。今回は特に婚約直後ということもあってか、パーティー会場を予約し、写真のスライドショーも作成するという力の入れようです。友人のもくろみ通り、何も想像していなかったbirthday boyはびっくりです。しかしその後、彼は、普段は遠方にいて滅多に会えない友人達の顔を見られたことに感激していました。  

  日本で私はサプライズパーティーにあまり遭遇したことがないのですが、こちらではとても人気があるようです。ちなみに、私のラボでもラボメイトの誕生日を祝う時、サプライズにするのが常識となっています。といってもこの場合は慣例になっているので、祝われる方も期待しつつ、サプライズされるのを待つという具合です。合理的な私には、サプライズの意味はないではないかとも思えます。それでも一応、コソコソと誕生日カードをラボ内で回し、ケーキの用意をします。このサプライズ制度、他人の誕生日はともかく、自分の誕生日には何とも気恥ずかしい一日を過ごすこととなってしまいます。さらに困った事は、たまにうっかり誰かの誕生日を忘れることがあるのです。当日になり気づき、大慌てで手分けしてケーキとカードを買いに走りに行くハメになったことも何度かあります。もちろん、当人にはそのような裏事情は見せられません。そう、たかが同僚の誕生日にしてはなかなか面倒な制度なのです。しかしそれでも、こちらでは誕生日パーティーはサプライズなのだそうです。 
 

   さて、NYでのパーティーですが、今回は主催者がパーティー参加費やホテルの滞在費用などを全て持ってくれました。こちらでは結婚式の参加費が主催者持ちなのは一般的です。参加者はプレゼントを持参するだけなのです。しかし誕生日パーティーでは各自が自分の分を支払うのが通常です。今回は婚約パーティーも兼ねていたためか、全ての費用を主催者である友人が一人で持つことにしたようです。このように成人の誕生日パーティーでは、サプライズでなくとも、誕生日を迎える本人(Birthday boy/ girl)のパートナーがパーティーを主催することが多いようです。昨年は知り合いの女性が30歳になる夫のためにバーで大きなパーティーを開きました。パーティー会場は私の住む街でしたが、参加者はニューヨークやボストンなど、車で数時間はかかる様々な場所から来ていました。それだけこの誕生日パーティーが大切なのだということなのでしょう。
 

   30歳のようなキリの良い数字でなくても、誕生日は家族だけでなく友達も招いて夕食をすることが多いようです。つまり、友人の数だけパーティーが増えるわけです。私の周りでは秋に誕生日の人が多いため、この秋は毎週パーティーを開くか、助けるか、参加するかのどれかをすることになりました。なかなか忙しくなります。しかし、普段は仕事などで忙しく会えない友人達も多いので、パーティーは皆で集まる良い機会となります。また、異なる友人を通して職場以外での新しい知り合いを作る良い機会ともなります。

  このようなパーティーシステムのためなのか、日本に比べるとアメリカの方が成人してからも友達付き合いが盛んだという印象があります。日本ではある一定の年齢になったり結婚したりすると、多忙のため付き合いが疎遠になることも多いかと思います。しかし、こちらではパートナーがパーティーを開いて自分の友人を集めてくれるので、自動的に社交する機会が増えるのかもしれません。交友関係の輪が広がるという意味では良いシステムだと思います。ただ、パーティーの準備は何度やっても、なかなか大変です。

  写真は、雪のあとの街とバルコニーの様子、また友人の誕生日パーティーの様子です。 
 

(コンドン)
2009年1月掲載

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