課題解決事例
S大学 分子生物学研究室
研究成果を追求するためにはもっと実験数を増やしたいが、予算の問題に直面…
リアルタイムPCRを活用したRNA発現解析により、コストを削減できた方法とは?
背景
細胞の機能解析などを目的とした基礎研究においてシングルセル解析に力を入れ、多くの研究成果を出しているS大学分子生物学研究室。研究の成果を追求するため、今後さらなる実験回数の増加が見込まれる一方で、試薬コストの削減が課題となっていた。
課題
実験回数を増やしたいが、試薬キットの価格がネックに…
この研究室ではシングルセルのRNA発現解析を行う際、NGS(Next Generation Sequencing)を用いたSingle Cell RNA-seq(scRNA-seq)で網羅的な解析を行っていました。この試薬キットは高品質であり、高い解析精度が得られるのですが、しかしその分、高額なコストがかかってしまうことが問題視されていたのです。
研究者の一人であるK氏は、今日も頭を悩ませていました。
「さらなる成果を出すためには、実験の回数をこれまで以上に増やしていく必要がありました。しかし当然ながら、私たちが使える予算には限りがあります。これまでと同じ試薬キットを使い続けるのは、コスト的に難しいことがわかっていました」
そこで研究室ではまず、安価なリアルタイムPCR法による可能性を模索することにします。しかしそもそも、シングルセルからリアルタイムPCRでRNA発現解析を行う場合、RNA量が少ないため、十分なcDNAが得られず、精度や検出漏れが頻発してしまう恐れがありました。
「いくら1回あたりのコストが安くなるとはいえ、検出できない遺伝子も多く、scRNA-Seqを補完するデータを取得することができませんでした。それだけでなく、検討に時間を要し、研究室全体で得られる研究成果の遅れにもつながることが考えられました」(N氏)
1日も早く新たな研究成果を挙げるため、試薬にかかるコストの削減だけではなく、シングルセルのRNA発現解析を高い精度で実施するための解決策も早急に見つけ出さなければなりません。
しかしそのための適切な手段がなかなか見つからず、研究員たちは困り果てていました。
課題のポイント
・scRNA-seq用の試薬キットは高い解析精度が得られるが、コストが高額だった
・リアルタイムPCR法では、シングルセルからRNA発現解析ができる試薬が少なかった
・RNA量が少ないと、解析精度の低下や検出漏れが頻発する恐れがある