課題解決事例
J大学 医学部 分子生物学研究室
ワンステップ法のリアルタイムRT-PCR、対応可能なウイルスの種類にばらつきが…
さまざまなRNAを高感度に検出!サンプル解析作業を効率化した試薬キットとは?
背景
ワンステップ法のリアルタイムRT-PCRでRNAの検出・定量を連日行っているJ大学医学部分子生物学研究室。さまざまな種類のウイルスの検出と定量が多く、複数の研究員が対応にあたっていたが、この方法にある課題を抱えていた。
課題
処理データの精度に不安が生じ、検出・定量の事前検討に時間がかかってしまう…
J大学医学部分子生物学研究室ではワンステップ法のリアルタイムRT-PCRでRNAの検出・定量を連日行っていますが、使用している試薬キットにおいて、いくつかの解決すべき課題がありました。
研究チームのK氏は、次のように振り返ります。
「プライマーを設計する領域が限定され、増幅に偏りが出ることで、プライマーの最適化が難しいといった課題を抱えていました。増幅領域の決め方によっては結果にばらつきが多く、処理データの精度に不安が生じ、プライマーの設計からやり直すこともありました。その結果、事前検討に時間がかり、なかなか実験が進みませんでしたね」
研究室では課題の改善のため、他メーカーのワンステップ法の試薬キットを使ってみることにしました。ところが、RNAウイルスや発現量の少ないmRNA の検出・定量ができない、30コピー以下のウイルスRNAでは検出・定量が不可能など、キットによって対応可能なウイルスの種類にばらつきがあることがわかりました。
「どの試薬キットが、どのウイルスに最適であるか、情報をまとめてみることにしました。しかし、思った以上にキットとプライマーの組み合わせ検討は手間が多く、キット購入費がかさむといった問題も発生してしまい…」(K氏)
大きな改善が見られないまま、研究室では今日も多くのサンプル解析作業が続きます。
課題のポイント
・ワンステップ法のリアルタイムRT-PCRはプライマーの最適化が難しく、対応可能なウイルスの種類にもバラつきがある
・30コピー以下のウイルスRNAや発現量の少ないmRNA の検出・定量ができない
・配列によって測定感度に偏り(バイアス)が生じやすい