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「再三 西海岸。の風に吹かれて」 第29回

第29回 分子「撫子」学  <2011年9月>

 みなさん、こんにちは。「西海岸。」です。西日本の西海岸地方に住む一地方大学教員です。この夏は、昨年ほどの猛暑ではなかったとはいえ、自宅ではエアコンのスイッチいれずに乗りきりました。こういう盛り上がりに欠ける状況の中でも、なでしこジャパンの大活躍には、スポーツが趣味でない私も大喝采を叫びテレビ観戦しました。という訳で、分子「撫子」学です。手偏に無しの子と書いて、「なでしこ」とは、ハンド使用が反則になるサッカー競技にぴったりの名称なのでしょうか?

 女子ワールドカップの開催されたドイツはフランクフルトには10数年前に仕事の都合で家族ともども住んでいましたが、当時小学高学年だった息子が地元の子どもサッカークラブに所属し、ドイツ語がよくわからないままに駆け回っていたことを思い出します。そのクラブですが、日本人の感覚で、夏休みになったら、毎日練習があるのだと思いきや、なんと、夏休みは、サッカークラブも夏休みだと聞いて拍子抜けしたことなども、思い出します。今はどうか知りませんが、現地の小学校は授業は午前中のみで下校。夏場は、朝の気温が25℃を超えたら、休校となるなど、さすが合理的なお国がらでした。
http://www.teikokushoin.co.jp/journals/geography/pdf/200902/14-15.pdf

  そんなところに飛び込んできた、川崎市の小学4年生、久保建英君(10歳)が、スペインの強豪サッカーチーム、FCバルセロナの下部組織に入団することになったというニュースは驚きでした。ぜひ、がんばってもらいたいものです。アニメの「キャプテン翼」は、以前からドイツのTVでも放映されていてよく見ましたし、ヨーロッパ各国でも放映されているそうですから、日本人の子供であっても違和感なく地元の人に受け入れてもらえるものと期待します。

 さて、「なでしこ」と分子○○学の関係は? 偶然ですが、ある調べものをしていて、ふと、「なでしこ」と「分子生物学」のキーワードをかけあわせてグーグル検索してみたら、とある小学校の校長先生の、学校の朝礼の訓話に出会いました。その校長先生、小学生の子どもたちに、放射能のことをあまり心配しないようにとおもんばかってか、100℃のお湯がかかったら火傷するが、40℃のお風呂は大丈夫ですね。危険なお湯も安全なお湯もある。放射能も考え方は同じですよ。というように説明されたそうです。むやみに怖がらないようにとの親心なのかもしれません。

  でもね、先ほどの天才サッカー少年ではないけれど、小学生を甘く見てはいけない。40℃の風呂だって数時間はいっていたら湯あたりするよね、45℃くらいのカイロで一晩あたって低温やけどする老人の例もありますよと、疑問に思った子がきっといるに違いない。今、世間で問題になっているのは、「ただちに」影響のない低線量被曝が長期間続いた時の影響なのですから、時間との掛け算の要素をいれないといけない。みなさんのお子さんが、家に帰ってきて、「今日、校長先生が、「大丈夫だ」と言ってたよ」と、うれしそうにしていたら、どうされますか? 結構、これは難問ですよ。

   なぜ、こんな話がグーグルでひっかかって来るかというと、この話が、この学校の発行する「なでしこだより」というのに載ってHPにも公開されているのと、この校長先生、わざわざ大学で分子生物学の研究者だったと自己紹介されていた点です。分子生物学研究者だったら、職場では必ず、RI安全取扱講習の教育訓練を受けていて、お湯と放射能を一緒に扱うような乱暴なことはないはずなんですけど、小学生向けに一生懸命わかりやすく説明しようとしたのでしょうか。

  さて、少し、話題を変えますが、この夏休みの間にあった、変わったニュースとしては、NASAが発表した「隕石からDNAの成分発見」でしょうか。これまでにも、隕石からは、アミノ酸や、核酸の痕跡は見つかっていて、生命の起源は宇宙由来かというロマンある議論がたびたびされていますが、地球由来のものの汚染との区別がつきにくかったようです。今回の報道は、今までもよく見つかったアデニン、グアニン、ヒポキサンチン以外にも、2,6-ジアミノプリン、6,8-ジアミノプリンなど、通常はあまり生物由来としては見つからない核酸塩基類似体が検出され、しかも隕石が見つかった周辺の南極の氷や土壌からは検出されないから汚染も考えにくいというような説明がくどくどとされています。宇宙生物学の素人から見ると、安定同位体元素分析すれば地球由来かどうか一発でわかるんじゃないのと言いたくなり、PNASに載った原著を読むと、その点のディスカッション部分は、With sample-limited meteorites, compound-specific stable isotope analysis may be impractical or impossible due to the large amount of meteorite material required. となっていて、サンプル量が足らず、出来なかった・・・のではなくて may be やっても無理だろうから、始めからあきらめた? というような感じで、ちょっとフラストレーションがたまりますね。

  この原稿を書いている時点で、8月もほぼ終わりです。夏休みの宿題とすると、何点くらいになるのか、校長先生の採点を受けるようなことにならないか、どきどきしています。

   知らなかったのですが、なでしこの異名は、常夏(トコナツ)なんだそうです。でも、夏の盛りを過ぎても、秋の七草でもあります。なでしこジャパンワールドカップアジア予選、この原稿が載るころは結果が出ているのでしょうが健闘祈ります。ともあれ、皆さん、どうか、お元気で、次回、また会いましょう。

(西海岸。)
2011年9月掲載

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