実施例
KOD -Multi & Epi- 実施例5 セロトニン神経におけるDNAのメチル化解析
データご提供 :摂南大学 薬学部 複合薬物解析学研究室 荒木 良太 先生
<実験の目的>
大脳皮質前頭前野に投射するセロトニン神経におけるセロトニントランスポーター遺伝子のCpGアイランドのDNAメチル化を解析する。
<実験方法>
【サンプルの種類】
マウス組織から抽出したゲノムDNAをバイサルファイト処理したもの
【サンプルの調製方法】
大脳皮質前頭前野に投射するセロトニン神経(約100細胞)をレーザーマイクロダイセクションにより採取し、DNA抽出、バイサルファイト処理をした。
【ターゲット遺伝子名と長さ】
Slc6a4のCpGアイランド / 327 bp
【プライマー配列】
Forward Primer : TTAGAGATTAGATTATGTGAGGGGT
長さ:25 Tm:56.7℃
Reverse Primer : TCTAAATCTCCAAAATTTCCATC
長さ :23 Tm:56.5℃
■KOD -Multi & Epi-®
【反応液組成】 【PCRサイクル】
(μL) | ||||||
滅菌蒸留水 | 19 | 94℃ 2min. | ||||
2×PCR Buffer for KOD -Multi&Epi-® | 25 | 98℃ 10sec. | 40cycles | |||
10μM Forward Primer | 1.5 | 55℃ 30sec. | ||||
10μM Reverse Primer | 1.5 | 72℃ 15sec. | ||||
KOD -Multi&Epi-® | 1 | |||||
Template | 2 | |||||
Total | 50 |
■比較した試薬
【反応液組成】 【PCRサイクル】
(μL) | ||||||
滅菌蒸留水 | 27.75 | 98℃ 10sec. | 40cycles | |||
10×PCR Buffer | 5 | 55℃ 30sec. | ||||
2.5mM dNTPs | 6 | 72℃ 30sec. | ||||
25mM MgCl2 | 5 | |||||
10μM Forward Primer | 1.5 | |||||
10μM Reverse Primer | 1.5 | |||||
PCR 酵素 | 0.25 | |||||
Template | 2 | |||||
Total | 50 |
【サイクラー機種】
サーマルサイクラー WAKO WK-0232
<結果・考察>
ごく少量のDNAを用いているため、DNAの濃度は不明です。(多くて、マウス細胞100個分のDNA/20 μL 程度)
ゲル抽出の際の電気泳動写真です。比較した他社の試薬の写真はありません。
目的の配列が特異的に増幅した(シークエンス確認済み)。
<感想・ご意見等>
これまでに、バイサルファイト処理したDNAを鋳型にしてさまざまな遺伝子のCpGアイランドをPCRで増幅してきました。
その経験上、バイサルファイトPCRは増えないときはとことん増えないです。増えない場合は、プライマーを変えたり、ポリメラーゼを変えたりします。
今回の配列は、他社の試薬では増幅しなかったので、KOD -Multi&Epi-®を試してみました。その結果、きれいに目的の配列を増幅することができました。
PCRの後は、TAクローニングに持っていくことが多いのですが、その場合、A-tailingを行う必要のあるKOD -Multi&Epi-®は少し不利です。とはいえ、目的の配列が増えなければ意味がないので、重宝しております。特に今回のような、微量で貴重なサンプルの場合は失敗できませんから、すんなり増えてくれると助かります。
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