「アメリカ東海岸留学日記」 第36回


 

> 2013年 8月 8日 「ワシントンD.C.」 

   日本はまだまだ猛暑だそうですが、こちらは8月に入ると夏の終わりを感じるようになってきました。夜はもう上着と毛布が必要なくらい冷え込むこともあります。秋の気配を感じ始めると、夏休みが終わるのが残念でならなかった子供時代の気持ちを思い出します。

   さて、この春と夏は、休暇を兼ねてワシントンD.C.に行ってきました。ワシントンはアメリカ東海岸の中ほどにあります。ボストンからは南に飛行機で1時間半、アムトラック(電車)で7時間、車でも7−8時間ほどの場所にあります。ワシントンはアメリカの首都として、ホワイトハウスをはじめ政府機関が集中しています。その中心街の周りにはスミソニアン博物館群およびモニュメントの数々が配置されています。モニュメントには代表的なWashington Monumentや、歴史上重要な人物や事件が像になってTidal Basinというポトマック川に続く池を囲むように配置されています。その池の周りには日本から寄付された様々な桜の木が何百本と植えられています。ボストンにも桜はありますが、ワシントンの桜並木は日本のものと遜色無いくらい大規模で圧巻です。春の花見シーズンには日本と同じく、地元の人や観光客で賑わうので川沿いの小道をまっすぐ歩くのも難しいくらいです。ただ、日本との違いは、花見の客には色々な肌の人々がいて、異なる言語が飛び交っているということです。
 

   ワシントンにはアメリカの政府機関の他にも、世界銀行やIMFなどの国際機関も集中しているため、世界中から職員が集まっています。また大学も経済学•政治学で有名な大学が集中しており、大変国際的な環境です。反対に理系の研究でも有名なNIHやJohns Hopkins大学はそれぞれ車で20分ほどの郊外に位置しています。そのためワシントンD.C.の中心は、落ちついたアカデミックな雰囲気というよりは、 都会らしく速いスピードで物事が進む国際人の街といった雰囲気です。

   ワシントンは首都ということで、積極的にマイノリティー(黒人やヒスパニック)を雇用していることでも有名です。ボストンなどのニューイングランド地方では、白人が数の上で圧倒的に優勢ですが、ワシントンではほとんどのカフェで黒人の店員さんを見かけます。私の住む街ではアジア人も比較的少ないため、ワシントンや西海岸に行くと人種の多様さに改めて驚きます。ボストンから引っ越してワシントンに住んでいる友人に言わせれば、政府の庇護で雇用が確保されている人が多いので、のんびりしすぎて仕事が遅いのだそうです。といっても、アメリカの他の地方に比べるとのんびりしているわけではないかもしれませんが。ニューイングランド地方はアメリカ全土の中でも最も勤勉で、人々はガリガリ働き、店も夜中や24時間営業の場所が多く、仕事へのストレス度は日本と同じくらい高いのではと思うこともあります。でも日本から最近引っ越して来た人に言わせると、人々が思ったよりも良く働くので、「アメリカも割と便利」と感じるようです。
 

   さて、ワシントンの気候ですが、日本の東京や大阪を少しマイルドにした感じに近いのではないかと思います。冬は雪が降るくらい寒くなることもありますが、寒い時期は3−4ヶ月で終わり、夏は反対に蒸し暑くてアスファルトの照り返しで外を歩くのも億劫になることがあります。あまりに暑いので、夏にはポトマック川で涼みながらの観光クルーズも人気です。パリのセーヌ川クルーズほどに景観はよくないですが、それでもワシントンの中心的な建物やモニュメントの解説を受けながら観光することができます。またペンタゴン(アメリカ国防総省)の写真を横からとることも出来ます。船長さんによれば、通常ペンタゴンの近距離撮影は禁止されているのですが、船の上からのみ写真撮影が許されているそうです。
 

   ワシントンはバージニアビーチが近いこともあり、シーフードも豊富です。今回はカニ専門店でローカルに採れたカニを満足するまで食べました。日本の大きなカニとは違って小さいので、一人で何個体か注文します。 解体用に、木槌とペンチ、殻入れ用にバケツも着いてきます。カニはボイルしたあとに独特のスパイスがかけられており、日本のポン酢で食べるカニとはまた一味違って美味しいです。

   ワシントンの街の様子は、都会の割に道幅が広く街の区画も大きいので、混雑することがほとんどありません。どのレストランでも間取りが広く、待たされることが少ないのは素晴らしいと思いました。ボストンでは小さなスターバックスのレジに列を作って並ぶのは日常茶飯事です。ボストンの町並みが日本の下町風にごちゃごちゃしているとすると、ワシントンは東京の官庁街といった感じで整然としています。ただ、住むには家賃も高く、物価も高いそうで、お金があればより楽しめる街だそうです。人々の感じも派手で、決断や行動が早い‘デキル’人が良いとされているらしいです。 日本の都会生活に慣れた人にはワシントンはお勧めです。ただ、研究のようにじっくり腰を落ち着けてとりくむには、賑やかすぎる街かもしれないと思いました。 
 

(コンドン)
2013年8月掲載

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