コーヒーブレイク

「アメリカ東海岸留学日記」 第37回


 

> 2014年 2月 11日 「シカゴ」

   この冬は日本でも厳しい冬となっているようですが、アメリカ全土でも空前の厳しい冬となっています。私の住む町でも、今年に入ってから雪の降る日が続いており、マイナス10度以下の日もしばしば見られます。そんなに寒くても、町は慣れたもので、公共交通機関も滅多に止まることはありません。

   さて先日、この冬の真っ只中、シカゴに行って行きました。シカゴは日本からアメリカ東海岸に飛ぶ途中に、乗り換え場所としては良く通っていたのですが、実際に町に降り立つのは初めてです。シカゴは五大湖の一つ、ミシガン湖の麓に位置します。アメリカで最も大きな都市の一つであり、ミュージアムや建築物で有名です。内陸にありますが、湖はあまりにも大きいのでまるで海のように見えます。さらに風が強いため、湖でも波が立ち、夏にはサーフィンまでできてしまうそうです。他にもセーリングやウィンドサーフィン、沈船があるのでスキューバ•ダイビングも人気のスポーツだそうです。本当にまるで海ですね。

   一方で、冬の間はさすがに海とは違って湖は凍ってしまいます。寒暖差も激しく、マイナス20度どころか30度に達する日もあるようです。今年は特に厳しく、毎週雪がふり、マイナス20度を下回る日も続いています。−20度以下になると長時間外で息をすることが苦しくなりますし、−30度になると涙や鼻水がすぐに凍ってしまいます。私の訪問中は、スノーストームのため雪はたくさん降っていましたが、気温は−10度くらいで、比較的過ごしやすい日々でした。
 

   今回はシカゴ大学でのセミナーのために訪問しました。シカゴ大学は名前から公立大学だと思われがちですが、私立大学です。この地方の州立大学はイリノイ大学になります。シカゴ大学もイリノイ大学も、どちらも研究大学として有名です。特にシカゴ大学は、中西部にもIvyリーグのような高い水準の研究と教育を提供する目的で創設されたそうで、創設初期から世界的に有名な研究が発表されてきました。経済学部はシカゴ学派と呼ばれ、アメリカ経済の中枢を担う人材を輩出し続けています。また、生命科学分野では進化生物学の分野で、世界的に有名な学者を多数抱えています。またシカゴ大学の特徴として、コラボレーションや新しいアイデアを歓迎するという特徴があるそうです。そのため、大学が出資する関連研究施設は複数の州にまたがって存在していますし、反対に国が出資する施設をシカゴ大学の研究者が運営していたりもしています。このように経営方針はかなりフレキシブルで、自由な校風のようです。

   キャンパスは、ダウンタウンから南に車で20分ほど行った場所にあります。国内線中心のMidway空港もダウンタウンから南に位置しており、アメリカ国内から飛ぶ場合はこちらの空港からタクシーに乗れば20分ほどで到着できます。今回の訪問では、訪問時間が短かったことと、大雪で外を歩くのが辛かったので、ダウンタウンには行かずに、シカゴ大学のキャンパスエリアで過ごしました。キャンパスは、ゴシック様式の歴史ある建物と、近代的なデザインの最新の建物が混ざっています。ただ新旧どちらの建物も、シカゴらしく凝った建築デザインで、キャンパスを散策するだけでも楽しめます。

   特に特徴的なのは図書館です。背の低い、一面ガラス張りの丸い建物で、一見すると温室のようにも見えます。しかし、実は地下深くまで掘り下げられており、膨大な資料を貯蓄する蔵書庫となっているそうです。希望の本を取り寄せるには、地下に潜らねば ならないため、地上で指示するとロボットが持って来てくれるシステムになっているそうです。一大学の図書館としては、何とも近代的です。一方で、私が訪問した学部は大学創設時からある建物の一つに入っており、大理石の床と木枠の螺旋階段やドアといった具合で、全体的にとても古めかしい造りになっていました。研究をする上では、新しく近代的な建物に移った方が便利なのではと思ったりもするのですが、創設時の歴史ある建物で研究をすることに特別な魅力を感じる人も多いそうです。また、分厚い大理石でできているので、新しい建物よりも耐久性に優れており、振動も少ないため、細かい実験作業には意外と向いているそうです。実利主義に思われがちなアメリカですが、国としての歴史が短いからこそ、歴史的建造物を愛する人々も多いように感じます。
 

   大学のメインキャンパスをでると、 水族館、美術館、大学関連施設の一つであるフィールド•ミュージアムなど、大型施設が湖沿いに連立しています。そのため、ダウンタウンまで行かなくても数日は十分に楽しめます。シカゴの住民にとっても、このエリアは特に家族で楽しめるアクティビティが多いことや、ダウンタウンまでは電車やバスで繋がれていて比較的便利なため、人気のエリアのようです。そのため、周辺は広大な住宅街になっており、大学関係者はもちろん、ダウンタウンの会社に勤める人も家を構えているそうです。 統計的に見て、シカゴは安全な町とは考えられていないようですが、ダウンタウンやこの大学周辺のエリアは十分安全で、女性が一人で出歩いても夜中等でなければ問題ないそうです。シカゴの中でもさらに南のエリアや、他にも特定のエリアには足を踏み込まない方が良いそうですが。

   人種は、東海岸北部には白人が圧倒的に多いことに比べると、色々な人種がいるように思いました。チャイナタウンは全米でも最も大きな規模だそうです。また黒人の人もタクシードライバーやホテルの店員など、至る所で見かけます。さすが中西部一の大都市といったところです。今回はほとんど観光出来なかったのが本当に悔やまれますが、また雪が溶けた頃に、今度はぜひ遊びに訪問してみたいと思います。
 

(コンドン)
2014年2月掲載

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