コーヒーブレイク

「アメリカ東海岸留学日記」 第24回


 

> 2011年 3月 7日  「アイスホッケー」 

   冬の長いここニューイングランド地方では 、ウインタースポーツが盛んです。以前に紹介したように、スキーは最もポピュラーなスポーツの一つですが、他に同じくらい人気のあるのがアイススケートです。特に男性は、子供のころからアイスホッケー・チームに入る人が多いようです。この地方では、アイスホッケーは見るのもやるのも人気があり、高校や大学で本格的にアイスホッケーをやって歯を折ってしまったり、骨折したことのある人も私の周りには何人かいます。

   フィギアスケートも、もちろん日本よりはポピュラーなスポーツで、女性は子供の頃に習う人もいるようです。冬の間、大学のアイスリンクが無料で使用出来るので、たまにスケートをしに行きます。すると、テレビで見るフィギアスケートさながらに、ダンスしながら滑る人やジャンプ&スピンをして見せる人々を頻繁に見かけます。私のように、ただ滑るだけしかできない人の方が珍しいくらいで、初めて行った時は驚きました。このようにスケートのレベルは大変高いのですが、それでもアイスホッケーに比べればそれほどポピュラーではないと言えます。また、大学生・院生になると女性でもフィギアスケートだけでなく、アイスホッケーをレクリエーションの一つとしてやる人も結構います。日本の大学のテニスサークルのようにレベルも色々あり、男女混合の上に初心者から上級者まで自分のレベルに合わせてチームを選ぶことができます。
 

   私も物は試し、ということで今年アイスホッケーに初めて挑戦してみることにしました。参加させてもらったのはもちろん初級者向けのチームです。チームごとに練習日があるのかと思いきや、いきなり対戦試合になりました。実践で覚えて行くらしく、ルールも分からないまま挑戦することになってしまいました。でもちゃんとレベルに合わせて各チームにランクがつけられており、例えば初級者DランクではDランクチーム同士でしか対戦しません。そしてDランクチームの対戦で、Cランク以上のファインプレーをしてしまうと反対に審判に怒られてしまいます。ゲームには勝った方がもちろん良いのですが、初めての参加者にもパックを回したり、強引なアタックは控えるなどの配慮もあるようです。あくまでレクリエーションを目的としているので、安全第一でプレイすることが推奨されているということなのでしょう。
 

   実は今回、私はスケート靴を買いに行く余裕がなく、初戦の日の朝にやっと買いに行くというぎりぎり具合でした。そのため、アイスホッケーはもちろん初めてでしたが、 アイスリンクに立つこと自体も小学校以来という最悪のコンディションになってしまいました。最初はリンクに立つだけでもドキドキしてしまったぐらいです。アイスホッケーをするには、まず自由にアイススケートする程度の技量は必要ですが、私の場合それ自体もままならない状態で、他の人が試合前に滑らかに滑りながらかなりウォームアップするのを見て、ますます緊張してしまいました 。どうなることかと自分で自分がかなり心配でしたが、不思議なことに、試合が始まると パックを追うのに必死になってしまい、ありがたいことに自然と怖さを忘れてしまいました。ゲームの終盤にはリラックスしたのか滑るのもかなり自然になり、ルールを覚えることもできました。早く習得するにはぶっつけ本番で試合に出るのは確かに効果があるようです。

   今回初めての経験で、 アイスホッケーに多くの人がハマる理由が分かりました。ただアイススケートするだけでも楽しいですが、アイスホッケーはそれに皆でパックを追うという目的が加算されるので、非常に面白いです 。 見ているだけだと狭いアイスリンク上で小さなパックを追うだけで、 そんなにダイナミックな動きもなく、他のスポーツに比べて楽に見えますが、実はものすごく集中力と体力を使います。おそらく氷の上に立っているだけでも無意識の内に体力を使っているのでしょう。そのため、アイスホッケーの試合では選手交替は何度でも自由です。私たちのチームでは、前半30分&後半30分の試合で、ほぼ5分ごとに交代しました。私の場合はまず普通に滑るのもやっとだったこともあり、息が切れるほど動くこと自体ありませんでしたが、それでも試合が終わった後は知らないうちに 汗をかいていることに気づきました。
 

   このような特定のチームに入会して行うサークル活動の他にも、大学では様々なレクリエーショナル・スポーツを行う機会をほぼ無料に近いかたちで提供してくれます。セメスター中では、ちゃんと単位がもらえるアイススケートの授業も開催されています。授業なのできちんと出席せねばなりませんが、大学関係者は希望すれば受講することができます。アイスホッケーの授業も有料ではありますが大学主催のセミナーに参加し、コーチを受けることができます。正規授業や特別セミナーのほかにも、大学のスポーツ・センターでは好きな時に好きなレクリエーショナル・スポーツを習うことができるプログラムがあります。開催される内容は 季節ごとに変わり、テニスやヨガ、ダンス、セーリング、自転車、ゴルフまでと様々なコースがあります。サークルや授業と違って、各部にいちいち入会/脱退したり、参加を強要されたりといったことが無いので気楽で助かります 。また、開催場所も歩いて数分の距離にあるアスレチック・センターで開催されるので、 研究で忙しい日々を送る研究者には最適です。 例えば電気泳動をしている間の1時間だけ行くこともできますし、ほぼ無料で予約無く参加できるので忙しい時は気軽にスキップできます 。

  日本でも大学によってはこのようなサービスがあるのかもしれませんが、私はあまり馴染みがありませんでした。アメリカに来て以来、今まで馴染みのなかった様々なスポーツに気軽にチャレンジするようになったと思います。そしてそれを可能にする環境が整っていることは素晴らしいと思います。ラボに篭りがちな私には 、スポーツは生活に変化を持たせ健康的に息抜きをする良い手段となっています 。アイススケートとホッケーは3月一杯で終了のようですが、次のシーズンは何を受講しようかと今から考えるのが楽しみです。
 

(コンドン)
2011年4月掲載

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