Can Get Signal 実施例1
ウェスタンブロットによるリン酸化タンパク質の検出

【データご提供】
宮崎大学 医学部 薬理学講座  柳田俊彦 様、和田明彦 様

【はじめに】

抗リン酸化タンパク質認識抗体を用いたウェスタンブロットは、様々な細胞内情報伝達系で活性化/不活性化されるタンパク質のリン酸化レベルの検出に広く用いられる方法です。簡便で容易である一方で、抗体の感度や特異性の良し悪しに、その結果が大きく左右されます。また、通常の抗体を用いる時と違って、ブロッキング溶液にカゼインを含むスキムミルクを使わないようにするなどの工夫が必要です。
Can Get Signal® は、抗原抗体反応を促進する効果があり、従来法に比べ、数倍から、数十倍のシグナルを得られること、またバックグランドを低く抑えることができるため、ウェスタンブロットやELISA (enzyme-linked immunosorbent assay)など、抗原抗体反応を用いた様々なアッセイ系に広く応用することが可能とされています。我々は、Can Get Signal® が抗リン酸化タンパク認識抗体を用いたウェスタンブロットにおいても従来法に比べ優れているかどうかを、インスリン刺激による下流のシグナル[AktおよびERK(Extracellular-signal regulated kinase)]のリン酸化を指標として検討しました。

【実験方法】

1.サンプル調製
培養ウシ副腎髄質クロマフィン細胞(発生学的に神経堤に由来)の培養液に、インスリン(1nM、10nM、100nM)、あるいは、対照のH2Oを添加し、5分間インキュベートしました。その後、Celllysis buffer(SDS-lysis buffer)で可溶化し、95℃で5分間ボイルしました。

2.電気泳動およびトランスファー
10μgの可溶化タンパクを12% SDS-ポリアクリルアミドゲルで泳動後に、Hybond-P PVDFメンブレン(AmershamBiosciences社)にトランスファーしました。

3.ブロッキング
TBS-tween (TBS-T: 10mM Tris, 0.15M NaCl, 0.1%Tween-20) 50mlに、BSA(Bovine serum albumin)0.5gを溶かし、1% BSA TBS-T溶液とし、トランスファー後のPVDFメンブレンを浸して、室温で1時間振とうしました。

4.1次抗体反応
1次抗体を、Can Get Signal® Solution 1で1/2,000に希釈し、PVDFメンブレンを室温で1時間振とうした後、TBS-Tで洗浄(10分間振とう×3)しました。コントロールは、TBS-Tで1次抗体を希釈しました。

使用した1次抗体:
抗phospho-Akt ポリクローナル抗体 (Cell Signaling Technology社製)
抗phospho-ERK モノクローナル抗体 (Santa Cruz Biotechnology社製)

5. 2次抗体反応
2次抗体を、Can Get Signal® Solution 2で1/20,000に希釈し、PVDFメンブレンを室温で1時間振とうした後、TBS-Tで洗浄(10分間振とう×3)しました。コントロールは、TBS-Tで2次抗体を希釈しました。

使用した2次抗体:
HRP標識抗ラビット抗体 (Amersham Biosciences社製)
HRP標識抗マウス抗体 (Amersham Biosciences社製)

6. 検出
ECL Plus (Amersham Biosciences社製) により発色し、LAS-3000システム【富士フイルム社製】で検出しました。

【結果および考察】

図1にAktのリン酸化、図2にERKのリン酸化の検出結果を示します。インスリンの濃度が増加するに従って、AktおよびERKのリン酸化が増加しました。Can Get Signal® 使用例とコントロール(従来法:TBS-T使用例)を比較すると、明らかなシグナルの増強と、バックグラウンドの低下が認められました。
以上の結果から、抗リン酸化タンパク質認識抗体を用いたウェスタンブロットにおいて、Can Get Signal® はTBS-Tで希釈する従来法に比べ、高い感度と低いバックグラウンドでの検出が可能になるものと考えられました。