KOD SYBR qPCR Mix実施例4
生物農薬糸状菌の特異的検出及び定量

【データご提供】
神戸大学大学院 農学研究科 生命機能化学専攻 細胞機能構造学研究室
池田 健一 先生 ・ 宿南 良 様

【実験結果】
1. A社qPCRキットでの結果
a. 増幅曲線


b. 融解曲線


2. KOD SYBR® qPCR Mixでの結果
a. 増幅曲線


b. 融解曲線

水色: 5×10-13 g/μL
緑色: 5×10-12 g/μL
黄色: 5×10-11 g/μL
赤色: 5×10-10 g/μL
紫色: 5×10-9  g/μL


【サンプル】 糸状菌ゲノムDNA

【サンプルの調製方法】 VIOGENE社のPlant Genomic DNA Extraction Miniprep Systemキットを用いて液体培養した菌体より糸状菌ゲノムDNAを精製した。

【遺伝子名】 rDNA ITS領域

【ターゲット長】 105bp

【プライマー配列】 F:塩基数19 Tm値53.9 R:塩基数20 Tm値58.4

【反応液組成】 KOD SYBR® qPCR Mix、A社リアルタイムPCR試薬は、共に以下の組成で実験を行った。

 qPCR酵素mix    10μL
 Primer F           2μL
 Primer R           2μL
 Template          1μL
 DDW                5μL
 反応液            20μL

【PCRサイクル】
<KOD SYBR® qPCR Mix>
98℃, 2min.
 ↓
(98℃, 10sec., 60℃, 10sec., 68℃, 30sec.)×45
 ↓
融解曲線解析 60℃ to 99℃

<A社qPCRキット>
95℃, 10min.
 ↓
(95℃, 15sec., 60℃, 1min.)×40
 ↓
融解曲線解析 60℃ to 95℃

【測定機器】
TAKARA Thermal Cycler Dice® Real Time System Single

【コメント】
糸状菌ゲノムDNAの抽出は、異なる種によって生成される糖類の影響によって精製度合いが異なってきます。本実験で使用した糸状菌も多糖を生成することによって、PCR増幅効率が低下していることが予想されました。
本実験では、研究室において従来使用していたA社のqPCRキット(RNA発現解析では十分満足な結果が得られています)とKOD SYBR® qPCR Mixを使用して増幅効率を比較しました。
増幅曲線解析においては同一テンプレート濃度でおおむねKOD SYBR® qPCR Mixの方がCt値が低く、検出能力を改善することができました。また、テンプレートが高濃度になるといずれも増幅効率が低下してしまう傾向が認められましたが、その中でもKOD SYBR® qPCR Mixはより高濃度テンプレート(赤=5×10-10g/μL)まで増幅することができました。
融解曲線解析においても結果の改善が見られました。KOD SYBR® qPCR MixではA社のものよりもサンプルごとのばらつきが小さく、増幅曲線のピークもほとんど一致しています。このことから、より正確に目標産物を増幅できていると考えています。

KODシリーズについては、本研究室において、KOD FX Neoを糸状菌形質転換体スクリーニング用として使用しています。形質転換体のスクリーニングは、よりスモールスケールで迅速に行う必要があります。一次スクリーニングにより得られたコロニーの菌糸片より簡易的にゲノムDNAを抽出し、PCRにより目的遺伝子の挿入を確認する必要がありますが、KOD FX Neoは少量かつクルードなサンプル(菌糸片を30秒3回の電子レンジ照射処理した上清を使用)を用いても陽性バンドを安定して拾うことが可能であるので重宝しています。

これら使用実績より、KOD SYBR® qPCR MixおよびKOD FX Neoのバッファー系統一式は、糸状菌抽出サンプルとの相性が良いのではないかと考えています。