実施例

Can Get Signal immunostain 実施例4 Swiss 3T3のPaxillin, p-Tyr, phalloidinによる3重蛍光染色(免疫染色)

【データご提供】
東京工業大学大学院 生命理工学研究科 原田伊知郎先生

【はじめに】
近年、蛍光顕微鏡の著しい性能の向上のため、蛍光免疫染色法はタンパク質の発現の有無、細胞内タンパク質の局在などの詳細を調べるための有力なツールとなりました。しかし、同じ抗原・抗体反応を利用するウェスタンブロッティングと比較すると、抗体の非特異的な反応であることを視覚的に判断することが難しく、そのためできるだけ抗体反応部分とそれ以外のコントラストを明確にする必要があります。さらに、蛍光画像を撮影するためには感度のよいカメラを利用し、撮影時の露光時間を大きくすることが必要ですが、露光時間の延長は蛍光プローブを褪色させてしまいます。目的タンパクへの抗体の反応効率の向上は画質のコントラストの向上により上記2点を改善することが期待されます。免疫染色用Can Get Signal® immunostain は、従来のCan Get Signal® を元に免疫染色用として開発されたものであり、蛍光免疫染色などサンプルが複雑な状態であっても従来品のような抗原抗体反応の促進効果が期待されます。今回我々は、抗原抗体反応だけではなく、アクチンフィラメントの染色に用いられるPhalloidinを併用し、従来方法では詳細観察が比較的難しい接着斑の免疫染色としてPaxillinとリン酸化タンパクの3重蛍光免疫染色を行い、免疫染色用Can Get Signal® immunostainが従来法に比べて優れているかを検討しました。

【実験方法】

1. サンプル処理
滅菌した15mm×15mmのカバーガラス上に5μg/mlのフィブロネクチンをコートし、Swiss 3T3線維芽細胞を一晩10%血清入りDMEM培地にて培養しました。24時間後、培地を除きただちに4%ホルマリンで15分浸し細胞を固定しました。TBS(10mM Tris, 0.15M NaCl)にて3回洗浄し0.5%TritonR X-100/TBSにて3分間処理した後、TBSで1回洗浄しBlocking-One【ナカライテスク社製】にて30分ブロッキングしました。

2. 1次抗体反応
1次抗体を、Can Get Signal® immunostain(solution A)で1/200に希釈し、サンプルのカバーガラスに50μlマウントして室温で1時間反応させました。反応後、3回TBSにて洗浄しました。コントロールはTBSに抗体を希釈して同様に反応させました。

使用した1次抗体:
抗Paxillin ポリクローナル抗体(H-114)
【Santa Cruz Biotechnology社製】

抗リン酸化チロシンモノクローナル抗体(PY20)
【Becton Dickinson社製】

 3. 2次抗体反応
Can Get Signal® immunostain(solution A)に2次抗体を1/2000倍希釈、Alexa355標識phalloidinを1/50倍希釈し、サンプルのカバーガラスに50μlマウントして室温で1時間反応させました。反応後、3回TBSにて洗浄しました。

使用した2次抗体:
Alexa488標識抗ラビットIgG抗体【Invitrogen社製】
Alexa546標識抗マウスIgG抗体【Invitrogen社製】
Alexa355標識phalloidin 【Invitrogen社製】

 4. 観察・撮影
蛍光褪色防止剤にProLong Gold【Invitrogen社製】をサンプルにマウントし、スライドガラス上にサンプル面を挟んで顕微鏡観察を行いました。観察顕微鏡にはOlympus IX71顕微鏡にUPlanApo(×60)の対物レンズを使用し、撮影用CCDカメラにはKeyence社のVB-7000を使用しました。

【結果および考察】
図には抗Paxillin抗体をCan Get Signal® immunostainに希釈した場合とTBSに希釈した場合(従来方法)のPaxillinの染色結果を比較しています。2つの結果は明度に大きな差があり露光時間を統一することができなかったため、撮影は異なる露光時間(Can Get Signal® immunostain 1秒、従来法3秒)で撮影したものであることに注意してください。Can Get Signal® immunostainを使用した場合は、明らかなシグナル増強が認められました。また、Phalloidinのような抗原抗体反応ではない反応の認識力の低下も認められませんでした。一方、従来方法と同じ露光時間で撮影した場合は、バックグラウンドの増強がわずかながら認められました。しかしながら、従来方法より目的タンパクからのシグナルの増強が大きく、非常に高いコントラストであったため、露光時間を短縮することで、バックグラウンドおよび非特異的反応の影響を大きく抑えることができました。また、今回示しましたデータは検証の同一条件にて行いましたが、Can Get Signal® immunostainを用いることにより、従来より少ない抗体量で検出することも可能でした。以上の結果から Can Get Signal® immunostainは蛍光免疫染色にて大きな威力を発揮するものと考えられました。


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